研究課題/領域番号 |
24750219
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松下 哲士 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90589186)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 液晶 / 共役高分子 / らせん構造 / 形態制御 / グラファイト |
研究概要 |
本研究では、キラルネマチック液晶を不斉重合場として用いることで、共役ポリマーの階層的な形態を制御する。さらに、それらを炭素化前駆体として、巨視的配向やヘリシティを制御したヘリカルグラファイトを調製する手法の確立を目指す。また、調製した形態制御ヘリカルグラファイトの機能物性の発現を試みる。平成24年度においては、以下の研究項目を実施した。 1. アセチレン重合の反応場として用いるキラルネマチック液晶のヘリカルセンスやらせんピッチ、配向状態を変化させることで、巻きの向きやねじれの度合い、巨視的配向を制御したヘリカルポリアセチレンフィルムを合成した。 2. 合成したヘリカルポリアセチレンフィルムの800度における形態保持炭素化および2600度におけるグラファイト化により、形態制御ヘリカルグラファイトフィルムを調製した。 3. キラルネマチック液晶を反応場とする3,4-エチレンジオキシチオフェンの不斉電気化学重合により、ヘリカルポリエチレンジオキシチオフェンフィルムを合成した。合成したヘリカルポリエチレンジオキシチオフェンフィルムの炭素化により、ヘリカル炭素フィルムを調製した。 4. 自己集積化によりウィスカー形態を形成するポリメタフェニレン誘導体を化学重合により合成し、このポリマーウィスカーを前駆体とする炭素化およびグラファイト化により、新規グラファイトウィスカーを調製した。次に、配向基板を用いることで巨視的配向ポリメタフェニレンウィスカーを調製し、同様に炭素化することで、巨視的配向炭素ウィスカーを調製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
前半の目標である、ヘリカル共役ポリマーを前駆体とする形態制御ヘリカルグラファイト創成手法の確立は、予定通り達成した。まず、1. ヘリカルポリアセチレンフィルムの形態保持炭素化のさらなる展開として、巻きの向きやねじれの度合い、巨視的配向が精度よく制御されたヘリカルグラファイトフィルムを調製した。次に、2. ヘリカルポリアセチレンのようなヘリカル脂肪族共役ポリマーのみならず、ヘリカルポリエチレンジオキシチオフェンのようなヘリカル芳香族共役ポリマーを前駆体とするヘリカル炭素フィルムの調製が可能となり、共役ポリマーを前駆体とする炭素材料の調製手法の汎用性が拡大した。さらに、3. これまでにない特異な芳香族共役ポリマーウィスカーを前駆体とする炭素ウィスカーおよびグラファイトウィスカーを創製することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、前年度に引き続き形態制御ヘリカルグラファイトを創製するとともに、得られたヘリカルグラファイトの電気物性評価を実施することで、新規機能発現を目指す。具体的な項目を以下に挙げる。 1. 一様に配向したヘリカルポリエチレンジオキシチオフェンフィルムの炭素化による巨視的配向ヘリカル炭素フィルムおよびヘリカルグラファイトフィルムの調製 2. 巨視的配向グラファイトウィスカーの調製と導電グラファイトファイバーにもとづく電気的異方性の評価 3. 炭素化前駆体としての新規ヘリカル芳香族共役ポリマーの探索 4. ヘリカルグラファイトフィルムの新規機能物性の評価
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品の購入に充てる
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