研究課題/領域番号 |
24750223
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石毛 亮平 九州大学, 先導物質化学研究所, 特任助教 (20625264)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 主鎖型液晶性高分子 / 側鎖型液晶性高分子 / トリブロック共重合体 / パーフルオロオクチル基 / 小角X線散乱 / 広角X線回折 / 層状ナノ周期構造 |
研究概要 |
側鎖型液晶性高分子(SCLCP)を末端Aブロック,主鎖型液晶性高分子を中央BブロックとするABA型トリブロック共重合体を合成し,これら異なる分子骨格を持つ異種液晶性高分子の液晶場の競合が,各ブロックの偏析により生じるナノスケールのドメイン構造にいかなる影響を与えるかを解明することを目的とする.本研究では,末端Aブロックとして側鎖にパーフルオロオクチル基を有しスメクチックB(SmB)相(Ti=78°C)を発現する側鎖型液晶性高分子PFA-C8を,中央Bブロックにはビフェニルメソゲンを有しスメクチックCA(SmCA)相(Ti=160°C)を発現する主鎖型液晶性高分子BB-5(3-Me)を選定した.ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒とし末端をBr化したBB-5(3-Me)をマクロ開始剤に用いた原子移動ラジカル重合法(ATRP法)により目的のトリブロック共重合体PFA-C8-b-BB-(5-Me)-b-PFA-C8(PFA-C8の重量分率wAが各々16,38,48,60,78%)を合成することに成功した.放射光(SPring-8,兵庫県,播磨)を用いた小角X線散乱(SR-SAXS)及び広角X線回折(SR-WAXD)測定により,このブロック共重合体が広い組成比範囲(wAが0.38~0.78)にわたって乱れの少ない層状ナノ周期構造を形成し,各ブロックの主鎖は層界面に垂直に配向しながら液晶相を形成することが分かった.さらにBB-5(3-Me)の形成する層は,wAの増大と共に減少することが分かった.すなわち,中央ブロックのBB-5(3-Me)は折りたたみ鎖形態をとることで液晶配向場を維持しながら層厚を変化させ,精緻な周期構造の形成に寄与していることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
目的とするブロック共重合体を比較的容易に合成することができ,SPring-8における放射光SAXS実験のビームタイムを充分に確保することができたため,予定よりも早く広い組成比範囲でのブロック共重合体のナノ周期構造の解析を実施することができたことによる.更には,H25年度以降に予定していた温度可変SR-SAXS実験も先立って実施し,wAが70%を超えるとBB-5(3-Me)ブロックの等方相転移に伴い周期構造のモルフォロジー転移が起こる証拠が得られ,予想以上に研究が進展した.
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今後の研究の推進方策 |
申請時の計画通り,せん断流動,磁場等の外場による偏析構造の配向を実施し,これらを比較する.高分子主鎖骨格にも外力が働くせん断流動と,メソゲン基にのみ外力が生じる磁場下における配向挙動の差異を綿密に調査することで,高分子形態(エントロピー)が偏析構造に及ぼす影響を明確にする.また,簡便なスピンコート法で薄膜を調製し,表面・界面効果による液晶場とナノ周期構造の配向を検証する.
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度は,モノマー等をご厚意によって企業より提供していただいたため,物品費が想定を下回り,400,000円を繰り越すこととなった.H25年度以降は,予定通りにモノマーを含む試薬,ガラス器具や必需品の追加購入するため,繰り越し分はこれらの購入資金に充てる.
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