研究課題/領域番号 |
24760010
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
仕幸 英治 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (90377440)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | スピントロニクス / スピンポンピング / 逆スピンホール効果 |
研究概要 |
半導体素子の更なる高度集積化において、いわゆるBeyond-CMOS技術開発が必要であり、本研究ではその関連研究をスピントロニクスの視点で目指す。IV族元素材料のスピントロニクスにおいて、これまで達成されていないp型Si、p型Geおよびn型Geにおける室温スピン輸送を、スピンポンピングによるスピン注入および、SiやGeに接合された非磁性金属の逆スピンホール効果を用いて達成することを目的とする。スピンポンピングにより生成される純スピン流ではトータルの電荷の流れは無いため、電流無しで電圧を生成するという究極の省エネを局所的ながら達成できるため、本研究はエネルギーの有効利用の点からも重要である。更にスピンポンピングによるスピン注入では従来の電気的スピン注入よりもスピン散乱が少なく、スピン注入効率が良いため、本研究手法を全固体材料のスピントロニクス研究へと展開することが期待できる。 本年度は提案の手法を用いて、p型Siの室温スピン輸送を世界で初めて達成した。また本手法によりp型Geへの室温スピン注入を達成した。p型Siの成果については、米国物理学会論文誌Physical Reivew Letters誌(Impact factor = 7.4)に掲載され、同時に同誌のEditor's Suggestionおよび、Physics部門で紹介された。また招待講演2件、国際学会における口頭発表2件等を行った。p型Geについては、日本応用物理学会論文誌Applied Physics Express誌(Impact factor = 3.0)に掲載された。また、国際学会における口頭発表1件等を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で達成することは、スピンポンピングにより、p型Si、p型Geおよびn型Geそれぞれにおける室温スピン輸送である。それに対し、p型Siについては達成済みである。p型Geについては、スピン注入自体は達成済みである。n型Geについてはこれからである。また、p型Siのスピン輸送および、p型Geへのスピン注入については、成果に関する論文を高インパクトファクターの学術誌に投稿し、公表済みである。以上から判断すると、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に有効性が明確に示された、固体材料のスピン輸送特性評価方法、すなわち、スピンポンピングおよび逆スピンホール効果を用いて、ゲルマニウム(Ge)中の室温スピン輸送を達成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含めて当初の予定通りの計画を進めていく。
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