電力エネルギーを損失なく送電できる材料であるYBa2Cu3Oy超伝導薄膜を溶液塗布法にて作製する際、原料溶液の作製段階で水分が混入し、品質の高い薄膜を得る妨げとなっていた。本研究では、水分濃度低減による原料の高純度化を研究目的に、原料精製過程の減圧度が水分濃度や薄膜試料組織及び通電特性に及ぼす影響を調査した。その結果、膜の結晶配向性や通電特性は原料精製過程に大きく依存することが明らかとなり、精製時の減圧度と減圧時間を制御することによって水分濃度を1.9wt%にまで低減したところ、薄膜の結晶配向性が大きく向上し、通電特性を約4倍に高性能化することができた。
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