研究課題/領域番号 |
24760019
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
兵野 篤 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20554299)
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キーワード | 電気化学 / 赤血球 / 界面化学 |
研究概要 |
本研究では、電位変調反射測定法を用い、赤血球表面の電気的特性を明らかにすることを目的とする。赤血球中に大量に存在するヘモグロビンは、内部の鉄イオンの酸化還元により吸収スペクトルが変化するため、反射率測定の対象としてこれを利用する。赤血球を電極上に固定して交流電位をかけ、細胞表面を通した電子のやり取りを観測することでその電気的特性を解析する。電位変調反射測定法は、非破壊的、直接的で高感度な測定手法であり、生体分子などの界面での振る舞いを明らかにする手法としての応用が期待できる。 2013年度は、ヘモグロビンを表面に固定した金電極を用いて電位変調反射実験を含む電気化学測定を行った。CV測定により鉄イオンの酸化還元に伴うピークを検出し電位条件を設定した。それに基づき、鉄イオンの酸化還元を含む電位範囲で電位を変調させ、その電極上での反射光変調を記録し、ヘモグロビン分子中の鉄イオンの酸化還元に伴うと考えられる変調反射信号の測定に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ガラス上に金基板を作製する方法とヘモグロビンを表面に固定する方法の確立に予定よりも時間がかかったため当初の予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
測定した電位変調信号の解析を行う。電位変調インピーダンス測定の結果と比較し、ヘモグロビン分子を介して鉄イオンの酸化還元過程を電気化学回路に模して明らかにする。 その後、電極上に赤血球を固定し、電極表面からヘモグロビン中の鉄イオンまでを細胞外高分子層・細胞膜・ヘモグロビンに分割して等価回路を完成させる(図3)。表面高分子層を含む赤血球表面の電気的特性を明らかにすることで、血液中・分散液中での赤血球の挙動をより詳細に説明できる。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画より進行が遅れていたため、2013年度は当初予定した赤血球を使った測定を行わなかった。そのため、赤血球の処理で必要となる物品の購入費がかからず未使用となった。 赤血球処理に必要なピペット類、遠心分離用試験管などの物品費として使用予定である。
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