研究課題/領域番号 |
24760022
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
永野 隆敏 茨城大学, 工学部, 講師 (70343621)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | β-FeSi2 / 第一原理計算 |
研究概要 |
鉄シリサイドFeSi2に対しての、表面観察(STM像)と第一原理計算シミュレーションをあわせることで、鉄シリサイド系のひとつであるβ-FeSi2の表面、界面における磁性機能発現のしくみ(原子と磁性構造の関係)を第一原理計算において、可視化を実施した。その様子は応用物理学会および 応用物理学会シリサイド系半導体と関連物質研究会において報告した。また、第一原理計算における粒界や表面における電荷密度分布からくる評価が有効かどうかを評価するために、金属粒界における偏析元素による電荷密度分布と比較検討した。 その結果、粒界面における原子位置、その比を評価することが可能で分かり、その構造解析を、研究会におけるSTMデータと比較し検討した。 それをもとに、FeSi2表面(101)方向だけでなく、他の方向へ適用し、その磁性発現の差異やメカニズムを修士論文としてまとめた。 その内容は、Fe原子の割合が多いほど磁性発現は大きくなるが、4層以上積層すると純粋なFe結晶に近い値となり、β-FeSi2表面の効果が失われることが分かった。β-FeSi2表面はFe結晶と比べると、一方向にひずみを持っており、その上に積層されたFeも やはり影響を受けひずむ。このひずみの影響がFe結晶で言うところの[100]方向に延びた構造をとることから磁性に対する影響が大きいことが明らかとなった。併せて純粋なFe結晶の[100]方向ひずみが磁性に対して大きな影響を持つかのメカニズムも実験と合わせて検討を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに、β-FeSi2表面がどのような構造が磁性発現を促すか、モデル計算では判明しており、その信頼性評価において粒界における計算、表面への積層時における計算など追加で評価している。
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今後の研究の推進方策 |
表面構造から、Si原子、Fe原子などを積層させた時の磁性発現と表面欠陥構造の依存性などを計算し、TEM観察と合わせることで その評価を行う。 また、Fe結晶におけるひずみと磁性に対する影響の評価も実験と合わせて行い、比較検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
計算規模が比較的小さく、実験値と直接比較することが困難であるため、計算規模拡大を行うためにその計算高速化機器を検討する。 また、成果発表のために金属学会に参加し、発表するための旅費に使用する。
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