鉄シリサイドFeSi2に対しての、表面観察(STM像)と第一原理計算シミュレーションをあわせることで、鉄シリサイド系の一つであるβーFeSi2の表面及び界面における磁性機能発現の仕組み(原子と磁性構造の関係)を第一原理計算において、可視化を実施した。その様子は応用物理学会および応用物理学会シリサイド系半導体と関連物質研究会において報告した。また、第一原理計算における粒界や表面における電荷密度分布からくる評価が有効かどうかを評価するために、金属粒界における偏析元素による電荷密度分布と比較検討した。 その結果、粒界面における原子位置、その比を評価することが可能と分かり、その構造解析を研究会におけるSTMデータと比較検討した。 これをもとに、FeSi2表面(101)方向だけでなく、他の方位へ適用し、その磁性発現の差異のメカニズムを修士論文としてまとめた。その内容は、Fe原子の割合が多いほど磁性発現は大きくなるが、4層以上積層すると純粋なFe結晶に近い値となり、βーFeSi2表面の効果がうちなわれることが分かった。β-FeSi2表面はFe結晶を比べると、一方向にひずみを持っており、その上に積層されたFeもこの影響を受けて歪む。このひずみによりFe結晶でいうところの[100]方向に伸びた構造をとることから、磁性に対する影響が大きいことが明らかになった。
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