研究課題
局所誘電率と局所電気伝導率に基づく量子物性解析に向けた基礎研究を推進した。局所誘電率の研究は、原子核の量子的時間発展を電子同様に場の理論的に取り扱う数値計算コードの開発を進めた。高誘電率材料中の誘電率には原子核の振動からの寄与が重要であると知られているからである。特に最終年度では相互作用を担う光子の記述についての改善を進め、その結果を論文として出版した。局所電気伝導率についての研究では、場の量子論的による電流の記述についての研究を進めた。場の量子論においては静電ハミルトニアンを用いた量子力学による記述とは全く異なり、4成分光子中のベクトル成分が非常に重要となることを示した。場の量子論として正しい光子状態を用いられない場合はローレンツ共変性を失い、矛盾した電流が生じることも示した。しかし、場の量子論として正しい光子状態を得ることは至難の業であり、局所電気伝導率の研究として量子力学に基づく波動関数を利用した物性研究も並行して進めた。平面波状の電流を摂動的に取り入れる方法と非平衡グリーン関数法で用いられる方法を利用して局所的な電流を表現する計算コードの2種類の方法での研究を行った。平面波を摂動的に取り扱う計算コードでは、シリコンナノワイヤー内部の複雑な電気伝導状態を図示した。非平衡グリーン関数に基づく方法では、ベンゼンジチオールとその水素置換体の内部での局所電流の様相を図示し、π電子とσ電子の電動への寄与の違いを明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (16件) (うち招待講演 2件)
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