研究概要 |
本年度は滅菌法の違いによる骨癒合能の変化を正確に確認するため、牛骨から精密加工機で作製した骨釘を2群に分け、一方に加圧滅菌を施行(A群)し、他方に低温滅菌を施行(E群)した。対象群として生体吸収材として汎用されるポリ乳酸材(PLLA)を同様の形状に加工したPLLA釘を用意し、同様の条件で低温滅菌を施行(P群)した。これら3群を家兎大腿骨顆部へ移植し、術後10日および14日時点での目での固定力を評価した。またマイクロCT(µCT)を用い骨癒合部の微細構造を評価した。その結果、移植直後の固定力は3群間に差を認めなかった(A群0.30±0.09N, E群0.25±0.05N, P群0.33±0.08N)が、術後14日ではA群312±20N, E群400±56N, P群21±8Nといずれも各群間に有意差を認めた(p 以上の結果から、加圧滅菌では低温滅菌に比較し骨癒合能が約25%低下することが判明した。一方で加圧滅菌した骨釘でもPLLA釘に比較し術後14日で10倍以上の固定強度を得ることも判明した。この事実は、骨が持つ骨形成タンパク質(BMP)が滅菌による熱変性で失活しても、骨釘はPLLA釘より固定材として優れていることを示唆していると考える。
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