研究課題/領域番号 |
24760032
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
SANG Liwen 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (90598038)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 太陽電池 / 異種材料 |
研究概要 |
本研究の目的は、異種材料のハイブリッド接合(hybrid ヘテロ接合)からなる太陽電池を形成して、30%を超える変換効率を目指すものである。この目標を達成するために、InGaNを中心にp型で光電機能を有する材料(p型のpoly-Siやa-Si:H薄膜)との接合を検討する. 従来のSi太陽電池の限界を超える第3世代として有望な材料ながら、InGaN系で実験的に報告されている最大変換効率は単一接合で3%であり、理論値(27%)よりも遥かに小さい。その原因の1つは、高In組成のInGaN薄膜でのp型ドーピングは世界的な難問となっているからである。このInGaN系材料における欠点を克服するためには、 新規なデバイスコンセプトが必要である。異種材料のハイブリッド接合はInGaN層のp型化の難しさを克服するとともに、p型Si系材料との接合によって長波長側への感度が向上することが期待される。 平成24年度は、以下を研究した。 (1)高品質InxGa1-xN (x~20-30%)薄膜のエピタキシャル成長. (2)InGaNのp型ドーピグ (3)InGaN薄膜の欠陥評価。 (4).InGaN薄膜上のa-Siの成長。(5)異種材料ヘテロ接合での電子輸送メカニズムの検討。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、新規デバイスコンセプトとして、p型のpoly-Siやa-Si:H薄膜をn型の高In組成InGaN薄膜上に成長させることを提案する。H24年度では、高品質InxGa1-xN、p型InGaNのドーピング、InxGa1-xN/Siヘテロ接合のできる。 1.高品質InxGa1-xN単一接合太陽電池の検討.AlN/sapphireテンプレートを利用し、高品質InxGa1-xN (x~10-20%)薄膜成長のために高格子不整合を引き起こ。このAlN中間層技術は貫通転移の伝搬をブロックする働きがあり、さらなる転位の低減になった。永続的光電流や熱励起電流などさまざまな方法からInGaN内部の欠陥について評価して、断面透過顕微鏡観察との比較検討を行った。 2.p型InGaNのドーピング.InGaN中のMgはInの相分離を引き起こすけれども、ホール濃度が増加。11%In組成InGaN、ホール濃度が10^18/cm3できる。 3.InxGa1-xN/Siヘテロ接合.InGaN薄膜上にp型のa-Si:Hか多結晶SiをプラズマCVD堆積する。SiH4ガスを用いたRFやVHFプラズマCVD において水素の希釈率などを制御しながら、a-Si:H薄膜の最適化を行う。ヘテロ接合界面TEM観察して、転位層を見つける。InxGa1-xN/Siヘテロ接合の太陽電池プロセス構造して、整流特性を見つける。 4.異種材料ヘテロ接合での電子輸送メカニズムの検討.InxGa1-xN/Siヘテロの電流-電圧パフォーマンス評価して、電子輸送メカニズム検討する。界面やバルクでの欠陥による影響を検出できる。
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今後の研究の推進方策 |
1.中間バンド太陽電池に向けたナノ構造: i) InGaN量子ドットの制御成長 (吸収波長 400-1000 nm)相分離、Inのクラスター化やInNとGaNとの固溶限界から周期的なInGaN量子ドットの制御は困難である。高品質GaN、AlNテンプレートを使って、サイズ、高さ、密度を制御した量子ドットの形成についてV/III比、温度や圧力を最適化して、中間バンド吸収について検討を行う。ii) pn接合における埋め込み多重量子ドット構造とキャリア輸送解析光電流を格段に増加させるためには、光吸収の長波長化が期待される多重量子ドット構造が有効的な手段の1つと考えられる。しかしながら、この構造は貫通転移などの新たな欠陥の発生源にもなりうる。pn接合内の量子ドット層間に歪緩和層を導入してその解決を図る。そして、できた構造に関して中間バンドが形成されているか、キャリア輸送メカニズムがどうなているのか検討を行う。 2. ハイブリッド接合太陽電池の形成.i) タンデム構造に向けた集積化検討最高効率を実現するために、バンドギャップや接合数の最適化をシミュレーションする。ミスフィット転位を回避するために上に成長する層との格子定数差を最小にすることが重要である。各活性層のバンドギャップや内部電界はInGaN中のIn組成やa-Si:H中のドーピングレベル等を考慮する。ii) 変換効率向上に向けた量子ドットの検討中間バンド吸収する量子ドット構造をタンデム構造の各接合に適応する。中間バンドによる吸収波長はサイズ、高さ、周期性を変えることによって最適化する。iii) 集光による変換効率向上の検討。集光度と変換効率との相関について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25度,新しいMOCVD真空装置を立て、真空部品を購入するために。
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