本研究ではグラフェンと均一な界面を作る六方晶窒化ホウ素(h-BN)を、グラフェン・スピントロニクスのトンネル絶縁層とすることを目指して、スピン注入効率に影響しうるh-BNと磁性金属界面の電子・スピン状態を評価した。 最表面敏感なスピン偏極ヘリウム脱励起分光法を用いることで、単層h-BNとNi(111)やCo(0001)の界面における軌道混成によってh-BNに誘起されたスピン偏極ギャップ内準位(Ni, Coの多数スピンの向きに偏極)を選択的に検出できた。このようなスピン偏極界面準位は、素子の磁気抵抗比の符号や大きさに影響するものであり、高性能素子デザインに貢献する結果であると評価できる。
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