研究課題
本研究では,2次元微小共振器レーザの動的特性と共振器形状との関係を解明し,新しい光出力波形制御方法の確立を目的としている.昨年度は,カオス共振器レーザにおいて,同期現象によって発振モードの統合化が起こり,単一波長の安定発振が可能となることを明らかにした.一方,カオス性を有しない共振器(安定型疑似スタジアム共振器)では,注入電流値の増加に伴い,多モード発振化する傾向がみられた.今年度の成果のひとつは,昨年度の結果に基づき,レーザ発振状態を安定化させるだけでなく,高速に不規則に変動させることのできる2次元共振器構造を提案・実証したことである.その2次元共振器は,入射光を多重反射を利用して共振器内部で周回させ,遅延させることのできる形状となっている.その共振器をレーザと結合させることで,戻り光レーザカオス現象を発生できることを示した.半導体レーザにおけるカオス現象は,物理乱数生成,秘匿通信,リモートセンシング等へ応用することができる.特にその共振器と結合したレーザデバイスは,これまでにない超小型の高速エントロピー源として利用できると期待される.更に,2次元共振器レーザダイナミクスを利用した通信・情報処理への応用を想定し,その前段階として,2つの独立なレーザ間の位相同期現象を調べた.その結果,共通の光ノイズの注入によって,10ns以上のレーザ位相同期が達成できることを示した.この現象はレーザ位相における共通ノイズ同期現象として説明できることも示した.以上の3つの研究結果は、共振器形状を利用したレーザの新しいダイナミカル制御に繋がると期待できる.
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