研究課題/領域番号 |
24760057
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
松本 哲郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (70415793)
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キーワード | 中性子放出率 / マンガン / 高純度Ge検出器 / 放射化 / 中性子線源 / 熱中性子 / 透過測定 / ガンマ線 |
研究概要 |
非破壊検査など工業用のさまざまな目的で、CfやAm-Beといった放射性同位元素の中性子源が利用されている。近年では、放射線源の管理はより厳密化され、人や環境に対する放射線影響が問題になる中、中性子線源強度のもととなる物理量でありる中性子放出率(/s)の絶対値が必要とされている。しかしながら、従来中性子放出率絶対測定に用いられてきた硫酸マンガン水溶液を用いたマンガンバスは、取り扱いが容易ではなく、装置自体も大きなものである。そこで、本研究ではポリエチレン板とマンガンを約70%含有する合金板を多層状に重ね合わせた構造の多層型マンガンバス検出器を開発している。平成25年は、組み立てた多層型マンガンバスに使われているマンガンの絶対量を知るために、マンガン合金中のマンガン含有率を産総研熱中性子場における放射化法を用いて、純マンガン粉末との比較測定を行った。放射化測定では、純マンガン粉末を内部が20mm直径×1mm厚のアルミニウムケースに入れた状態で行われた。合金も20mm直径×1mm厚のペレット状に加工し、同様のアルミニウムケースに入れた。放射化後は、相対検出効率60%の高純度Ge検出器によって測定が行われた。また、合金のロッド間による差異がないことを確かめるために、熱中性子による放射化法に加えて、京大炉の熱中性子ビームを用いてマンガン全断面積の中性子共鳴を用いた透過測定による検証も行った。その結果、合金中のマンガン含有率が導出でき、合金のロッド間のマンガン含有率には測定に影響を与える差異がないことも示すことができた。最終的に、中性子源を用いて中性子放出率測定をするための準備が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究2年目で、最終的な測定の前段階の準備までが終了した。現在のところ、研究遂行に支障をきたす問題は起きておらず、順調に進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である来年度は、CfとAm-Beといった2種類の放射性同元素中性子源について、中性子放出率測定を行い、モンテカルロシミュレーションによる予測との比較を行う。そのことにより、実用化に向けてさらに改善が必要な点を抽出していくこととなる。 また、中性子放出率導出に当たっては、検出器からの中性子のリークの割合、線源からの速中性子と構造材による反応によって失われる中性子の割合、について検証する必要があり、そのための計算も可能にさせる。
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次年度の研究費の使用計画 |
ホルダーAの加工において、当初予定よりも安価になったため、「次年度使用額(B-A)」が生じた。 翌年度、成果発表において翌年度分と合わせて有効利用する予定である。
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