物資供給待ち行列で、「列の初期人数」と「列の長さから受ける影響」の二つをパラメータとしてシミュレーションを行うことにより、行列への殺到が起こってしまう条件を求めた。それと同時に、全てのエージェントの保有物資の分布を調べ、行列に殺到したことによって物資の保有量がどれだけ不均一になってしまうかということも調査した。また、これらの結果に初期人数がどのような影響を及ぼしているかについて、ゲーム理論を用いた理論解析を行った。この影響を調べることは非常に重要である。例えば、初期人数が行列への殺到が起こる確率に大きく影響している場合、震災などの災害直後にいかに行列に人が集まるのを防ぐかが重要になる。 さらに、列に並んでいるエージェントの物資消費量を多くする効果を取り入れることにより、ガソリンスタンドのような行列のダイナミクスも考えた。このシミュレーションからは、列に並んでしまったがために物資を消費し尽くしてしまうケースがどのような場合に発生するのかが、パラメータ領域によって表わされる。行列への殺到が起こらなければ失われなかった物資の総量についても求めることができた。また、本研究のモデルは、物資に殺到する車や人によって道が混雑してしまう状況にも応用することができる。 物資供給待ち行列の解析と並行して、モデルを解析するための新たな近似計算方法の開発も行った。さらに実際の人による実験も行い、Android タブレットを用いた自動計測機も作成した。
|