研究課題
本年度は,電磁場解析の高速化を継続して実施した.特に,準定常渦電流問題や高周波電磁界問題において辺要素有限要素法を適用した際に得られる複素対称線形方程式に対し,エルミート行列向け解法であるMINRES法を複素対称拡張したMINRES-like_CS法を提案し,その有用性を評価した.TEAM29モデルを用いた高周波電磁界に関する数値実験により,共振周波数においてはCOCG法などでは収束性が悪化することが知られているが,提案するMINRES-like_CS法によってその影響を小さくすることに成功した.また,導電率の値も行列の性質に影響するが,MINRES-like_CS法を用いることで導電率の値に影響しない収束率を得ることに成功した.これにより,高周波電磁界解析分野においてロバストな収束性を持つ反復法が開発されたと言える.さらに,電磁場解析へのバランシング領域分割法の応用研究を継続して行った.静磁場問題向けのcoarse行列構築法を提案したが,数値実験の結果として簡易的な対角スケーリング前処理に対する優位性は得られなかった.本項目は継続しての研究開発が必要と言える.また,超大規模解析におけるストレージ容量不足問題を解決するために,多階層精度圧縮数値記録の有限要素解析における性能評価を継続して行った.弾性解析に関する数値実験により,許容誤差が0.01より小さければ可視化画像に与える影響は無視できることを明らかにした.また,許容誤差と動解析におけるリスタート解析の影響についても調査し,許容誤差とリスタート間隔における関係性を明らかにし,動解析リスタートファイルに対してもデータ容量削減が可能であることを示した.
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (35件) (うち国際学会 17件)
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