研究課題
若手研究(B)
地球温暖化、原子炉事故などによる汚染物質の拡散などの予測や解明は、近年問題となっている環境問題の解決に必要不可欠である。これらの現象では、乱れた流れ(乱流)と複雑な境界との相互作用が重要な役割を果たしている。乱流現象の解明には、計算科学的手法、特に大規模な直接数値計算(DNS)が強力な手段である。しかし、乱流は巨大自由度系であり、地球規模流動現象などにみられる高レイノルズ数乱流のDNSは、現在最高のスーパーコンピューターをもってしても不可能である。本研究では、数理・物理的に根拠を持った乱流の情報縮約手法(乱流モデル)の開発、及び複雑境界をともなう高レイノルズ数乱流に対する乱流モデルの信頼性の評価を行う。これまで、3次元双直交離散ウェーブレット解析を用いた3次元非圧縮混合層乱流の適合格子シミュレーション手法(CVS)の開発ならびに、CVSを評価するためのDNSプログラムの開発を行ってきた。空間の離散化は2次精度有限体積法、時間発展には2段2次のルンゲクッタ法を用いた。24年度は、DNS, CVS両プログラム中で用いられるアロケーションの高速化に成功し、約30%程度のプログラム高速化を達成できた。また、DNS プログラムに含まれるポアソン方程式にマルチグリッド手法を適用することで、DNSプログラムの高速化を行った。引き続きCVSについても、ポアソン方程式にマルチグリッド手法を適用することで高速化を図る予定である。
1: 当初の計画以上に進展している
3次元双直交離散ウェーブレット解析を用いた3次元比圧縮混合層乱流の適合格子シミュレーション手法(CVS)の開発ならびに、CVSを評価するためのDNSプログラムの開発を行ってきた。今後はその高速化に焦点を置けば良いため、進展しているといえる。
まず、3次元比圧縮混合層乱流の適合格子シミュレーション手法(CVS)の高速化を行う。CVSプログラム中のポアソン方程式に、マルチグリッド手法を適用することで高速化を図る予定である。マルチグリッド手法としては、適合格子に適した Popinet J. Comput. Phys. 2003 によるものを使う。
本研究の一部はフランスの研究者との共同研究であるため、研究打ち合わせの渡航費あるいは招聘として使用する。得られた成果を国内外の会議で発表するため、渡航費として使用する。また必要に応じてワークステーションなどの購入を行う。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
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