研究課題/領域番号 |
24760063
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岡本 直也 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80547414)
|
キーワード | 乱流 / ウェーブレット / 間欠性 |
研究概要 |
地球温暖化、原子炉事故などによる汚染物質の拡散などの予測や解明は、近年問題となっている環境問題の解決に必要不可欠である。これらの現象では、乱れた流れ(乱流)と複雑な境界との相互作用が重要な役割を果たしている。乱流現象の解明には、計算科学的手法、特に大規模直接数値計算(DNS) が強力な手段である。しかし、乱流は巨大自由度系であり、地球規模流動現象などにみられる高レイノルズ数乱流のDNSは現在最高のスーパコンピュータをもってしても不可能である。本研究では、数理・物理学的根拠を持った乱流の情報縮約手法(乱流モデル)の開発、及び複雑境界をともなう高レイノルズ数乱流に対する乱流モデルの信頼性の評価を行う。 今年度は、弱圧縮混合層乱流の直接数値計算(DNS)ならびにウェーブレットを用いた情報縮約計算(CVS)のコードの高速化を行い、異なる計算機での性能評価を行った。現在、Volume Penalization法をDNSコードに組み込み、複雑境界まわりの流れの計算手法の開発・検証を進めている。CVSは乱流の普遍的な性質である間欠性を利用した手法であるため、乱流の間欠性に関する研究を行った。乱流として、一様磁場下の電磁流体乱流をとりあげ、乱流の非等方な間欠性を定量化する指標を直交ウェーブレットを用いて定式化し、流れ場の間欠性が磁場の増加と共に大きくなること等がわかった[Okamoto et al. Phys. Rev. E 89, 033013 (2014)]。ここで得られた知見は、一様磁場下の電磁流体乱流のCVSに有用と考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コードの高速化に成功し、また、非等方性乱流のCVSに有用な知見も得られたから。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、弱圧縮混合層乱流の直接数値計算(DNS)ならびにウェーブレットを用いた情報縮約計算(CVS)を、異なるレイノルズ数(Re)に対して実施し、CVSの計算速度のDNSの計算速度の比のRe依存性を明らかにする。CVSによって得られた乱流統計量がDNSの対応する統計量をよく再現するかの検証を行う。CVSのコードに、Volume Penalization 法を用いて、Penalization項を付加する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に、非圧縮混合層の情報縮約手法の開発を行い、CVS手法とDNS手法のCPUコスト・統計量の再現性の比較を行うとともに、国際会議で発表する予定であったが、CVS手法が当初の想定よりCPUコストが高かったため、計画を変更し、CVS手法の高速化を行うこととしたため、未使用額が生じた。 CVS手法の高速化と海外発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
|