研究課題
本研究では確率過程の汎関数の期待値を計算するために,確率過程を記述する方程式の高速・高精度な数値計算法を確率することを目的としている.本研究に関しては,昨年度,確率過程を記述する偏微分方程式(Kolmogorovの前進/後退方程式)のFourier変換に基づいた数値解法の構築に引き続き取り組んできた.昨年度は,確立した数値解法についてまとめた論文について,内容の改善に取り組んでいた.本研究では,数値解法の一部として,二重指数関数型変換を用いたFourier変換の高精度公式を高速化したものを用いている.その高速化の効果を分析することが改善点の一つであった.また,もう一つの改善点として,数値計算に用いるサンプル点数が多くなったときの誤差の振る舞いに対する分析があった.前者については,数値実験により,高速化を用いない場合よりも確かに高速化されていることが確認できた.後者は,今回構築した数値計算法の詳細な誤差解析に関わることであるが,完全な理論的解析には至らなかった.これについては今後の課題である.結果としては,上記の論文は投稿先の論文誌に採録され,掲載された.また,本論文の内容を,国際研究集会(ICIAM 2015)で発表することもできた.なお,一方で,離散確率過程に関する数値計算法に共同研究として取り組んだ.これについても,論文誌に論文を発表することができた.本研究については本補助事業の最終年度を終えているが,今後の方向性としては,昨年度も指摘したように,本研究を遂行するにあたって開発した個々の数値計算法の解析や応用・発展などがある.また,前述のように,詳細な理論的解析も課題としてある.
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
IMA Journal of Numerical Analysis
巻: (published online) ページ: -
10.1093/imanum/drv038
SIAM Journal on Numerical Analysis
巻: 53 ページ: 2158 - 2177
10.1137/140971269