本研究の目的は,静電場・構造連成の設計問題を解くトポロジー最適化の方法論を構築する事により,新しい機能,あるいは高機能を持ち革新的な低電圧駆動を実現する静電駆動型MEMSの構造創成設計を行う事である.この目的を達成するために,静電駆動型MEMSが静電場より静電引力を得る性能と,静電引力により所定の大変形を得る性能を,数値解析手法により同時に評価を行い,その解析結果に基づき,トポロジー最適化により構造の創成設計を行う方法の開発を目指す.平成26年度においては,平成25年度までに得られた研究成果を基に,電極間の駆動力・相対位置のプロファイルを最適化する電極構造を得ることを目的として,静電駆動型MEMSの構造創成設計法の更なる応用展開を行った.また,従来の方法論が2次元問題のみを対象としていたため,これを3次元問題へ拡張するべく,方法論の試作検討を行った.更には,トポロジー最適化における最適解探索の効率を更に向上させるべく,方法論全体の見直しを行い,非線形計画法との親和性が非常に高い,新しい構造最適化のフレームワークの研究開発,提案を行った.このように,トポロジー最適化により静電駆動型MEMSの創成設計を行うという研究目標に対し,アプリケーションレベルでの更なる展開,3次元問題への拡張,基礎的方法論レベルでの効率向上が行われ,大きな研究成果が得られたと言える.これに関連して,平成26年度に,査読付き国際学術雑誌論文に2本の論文が掲載され,国内の学術会議において1件の発表を行った.
|