研究課題/領域番号 |
24760071
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
因幡 和晃 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (00408725)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 材料力学 / 材料科学 / 連続体力学 / 計算工学 |
研究概要 |
配管内爆発の被害低減を目指し,爆発を模擬した水撃実験を行った.ピストンを水面に衝突させることで水撃波動を生成し,ポリカーボネート円管を用いて水およびスラリー(水と固体粒子の混合液)における水撃波動の伝播挙動を観測した.測定したデータから水撃波動の周波数特性および分散特性をウェーブレット解析により明らかにし,過去に他の研究者により提唱されている理論モデル式との詳細な比較から,水を充填した場合において理論モデルと実験データが比較的よく一致することを明らかにした.さらに,ポリカーボネート円管と金属製クランプを用いて,水撃波動におけるバンドギャップ効果の実験を行い,水撃波動のピークが減少すること,および波動の立ち上がりが緩やかになることを確認した.さらに,はり理論による繰り返し構造の理論式を導出し,実験結果との比較を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水撃波動における周波数特性,分散特性について測定データをウェーブレット解析することにより,過去の他の研究者により提唱された理論モデルと実験結果が比較的よく一致することを確認した.また,ポリカーボネート円管に水を充填した場合に対してスラリーを充填した場合には,分散特性が強くなることを確認した.以上の結果により水撃波動における周波数特性と分散特性について既存の理論モデルで概ね評価できることを確認した. 次に,ポリカーボネート円管に鋼製のクランプを設置して繰り返し部を設けることで,バンドギャップ効果の検証を行い,期待された効果を直接的に観察することはできなかったが,被害低減の効果があることを確認した.水撃波動におけるバンドギャップ効果の物理モデルは存在していないため,入手可能な円管とその円管に設置可能なクランプを用いた繰り返し部による実験を行ったが,水撃波動の伝播による円管の衝撃ひずみ応答は繰り返し存在するクランプ部を通過するにつれて小さくなった.さらに転送行列理論によるはりの繰り返し構造におけるたわみ波のバンドギャップ効果の式を円管に適用して周波数特性を調べたところ,実験で観察されている周波数に対して非常に小さい周波数においてバンドギャップ効果を生じる可能性を確認した.
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今後の研究の推進方策 |
幅広い周波数成分の圧力波動に対してバンドギャップ効果を検証するため,水撃波動だけでなく,平成24年度に購入した加振器一式による圧力変動を入力波動として用いて,周波数を幅広く変化させて繰り返し構造部分を伝播させ,入力と反対側の圧力変動を出力として測定する実験を行う.また,平成24年度に構築した理論モデルにおいて実験で観察された水撃波動の主要な周波数帯を遮断する繰り返し構造を検討し,厚肉軟鋼管を切削加工することで厚肉部と薄肉部からなる繰返し構造を有する円管を作成する.この円管を用いた加振器による周波数応答を明らかにするとともに水撃波動を伝播させることで繰り返し構造におけるバンドギャップ効果の検証を実施する.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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