研究課題/領域番号 |
24760083
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
境 英一 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (70581289)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 材料設計 / プロセス / 物性 / 評価 / 接合 |
研究概要 |
平成24年度は新型超音波接合方式と表面改質技術を利用した金属‐樹脂の直接接合について,表面改質法・接合条件と接合界面構造および接合強度との相関関係の調査に重点を置き,その強度向上メカニズムを明らかにすることを目標として研究を実施した. まず,アルミニウムと樹脂のアンカー効果による接合を検討するために,腐食を利用する薬液処理を行うことで表面にナノサイズの微細孔を形成させた(微細孔処理).処理後の表面をSEM観察した結果,薬液浸漬時間0.5分で10-20nm程度の孔がいびつではあるが均質に形成され,浸漬時間1.5分で浅い凹凸ができ,その表面に20nm程度のサイズとなることがわかった.この結果から接合に有効と思われた1.5分の微細孔処理を行ったアルミと樹脂との接合を検討したが,どの接合条件でも十分な接合強度を得ることができなった.これは,微細孔に樹脂が浸入するために必要な圧力を実現できなかったためと推測された. 次に,化学結合による表面処理方法を検討するために,シラン処理を実施した.シラン処理したアルミ表面において,非常に薄い層が形成されている様子がSEMにより認められた.この層を顕微FT-IRにより分析したところ,Si-O由来の吸収ピークを認めることができた,さらに,樹脂との親和性が高い有機官能基が存在していることを示す吸収ピークを検出できた.これを用いて樹脂との接合を行った結果,高圧および高振幅の状結果で超音波を8秒印加させることでPMMAおよびPA6で接合できたが,非常に低い強度のものしか得られなかった.この原因を分析した結果,熱膨張率の差による問題が示唆された. したがって,以上の解決により強度の向上が見込まれることを結論づけることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標は表面改質法・接合条件と接合界面構造および接合強度との相関関係の調査に重点を置き,その強度向上メカニズムを明らかにすることであった.「研究実績の概要」にある通り,本年度は2種類の表面処理方法について検討し,それぞれの効果を明らかにすることができており,この目標についてはおおよそ達成している.課題として接合強度の低さが挙げられたが,その原因を分析することで,強度を向上させるためのメカニズムを推測することができた.したがって,申請書に記載した計画通りに研究を進めることができているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,まず接合強度を向上させる方法・条件について表面処理方法や樹脂の改質といった観点などからさらに検討する.次にそれらの知見を基盤として,環境負荷の影響や耐久性の評価を行うことを目標とする. 具体的には,接合体の気密性と耐水性の評価として,恒温恒湿機中に任意の時間だけ静置させた接合体の重量および接合強度の経時変化を検討する.さらに温度変化試験も行うことで耐熱性の評価も実施する. それらの結果をもとに,平成26年度には疲労特性の評価を行う予定であり,最後に研究の総括として接合強度・気密性・耐熱性・耐久性に及ぼす接合界面構造の影響,それらの界面構造と表面改質方法・接合条件との関係を総合的に考察し,当技術の実用化のための知見を得る.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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