研究課題/領域番号 |
24760086
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
松崎 亮介 東京理科大学, 理工学部, 講師 (20452013)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 複合材料 / 表面処理 / インプリント / 接着強度 |
研究概要 |
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)は比強度・比剛性が高く,航空宇宙産業に広く利用されている.CFRPの接合には接着接合が多く見受けられるが,強い接着強度を得るには表面処理が必要となる.しかし,従来の表面処理方法である,サンドブラストやプラズマ処理は,材料成形後の工程を増加させるだけでなく,粉塵の発生など作業環境悪化の原因にもつながる.そこで,Nanoimprint lithography(NIL)を用いてCFRPの接着表面を微細加工し,接着強度,破壊靭性を向上させようとする試みがあるが,インプリント転写に使用される離型剤が微細構造表面に残留し,接着強度が低下する問題があった.また,従来のモールドは金属製であるため,離型時を考慮すると引抜き離型が可能な2.5次元構造のみ限定される課題もあった. 本研究では,溶解性材料を用いたモールドを使用し,離型時に溶解させることで,離型剤を使用せず,3次元表面構造の転写を可能にする表面処理手法を提案し,実際に複雑な3次元インターロック構造を有する溶解性モールドを用いて,CFRP表面にインプリント転写し,インプリント表面構造形状の評価を行う. 3次元形状が作製可能であること,溶解可能なことからフォトレジストをモールド材料として使用し,フォトリソグラフィ技術により,溶解性モールドの作製を行い,3次元構造表面の作製には傾斜露光法により行った.そして,作製した溶解性モールドを用いて,CFRPプリプレグに対し3次元構造表面のインプリントを行い,その後モールドを,アセトンを用いることで溶解させ離形処理を行った.これにより,離型剤を用いずにインターロック構造などの3次元形状表面をインプリントすることができる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,当初の予定通り傾斜を持った3次元凹凸構造が,一定の間隔で並んだ溶解性モールドの製作に成功した.さらに,CFRPにインプリントし,モールドと同様の傾斜を持った3次元凹凸構造が転写されているのが確認できており,概ね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
アセトンによる離型処理後,フォトレジストがアセトンに完全には溶解せずCFRP凹凸構造に残留する問題が有り,今後これらの問題点のメカニズムについて解明し,改善策について実験による検証が必要である.
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次年度の研究費の使用計画 |
実験用消耗品への使用に加え,国内・国際会議で積極的に旅費等に対外発表を行うため,旅費に使用する計画である.
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