現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、主に、微細結晶チタンの表面性状に及ぼすプラズマ窒化処理条件および結晶粒径の影響について検討を加えた。まず、冷間圧延およびメカニカルミリングを用いて、微細結晶粒を有する純チタンを作製した。なお、メカニカルミリングは種々の時間(0, 25, 50 ,75, 100時間)で処理を行い、結晶粒の異なる試験片を作製した。このように作製した微細結晶チタンに対して、3種類の窒化温度(500, 600, 700℃)、2種類の窒化時間(5, 20時間)の条件で窒化処理を施した。 その結果、結晶粒を微細化することにより窒素化合物層の厚さは増大し、表面硬さが上昇する傾向が得られた。これは、予め結晶粒を微細化することにより、窒素拡散速度が増大したためである。なお、このような硬さの上昇は、500℃の窒化処理では認められなかったことから、600℃以上の窒化処理が有効であることが明らかとなった。しかしながら、700℃の窒化処理を施した微細結晶チタン(冷間加工材)の場合には、結晶粒の粗大化が生じた。これに対して600℃窒化を施した純チタンには、依然として微細な結晶粒が存在していたことから、効果的に純チタンの疲労特性改善に寄与する窒化条件(600℃)を見出すことができた。 また、次年度に向け、疲労特性を評価するための4点曲げ疲労試験システムの構築も完了しており、本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる。
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