本研究課題で生物学の知見、特に植物の持つ生殖メカニズムに着目し、生体由来の植物細胞を材料の一種として利用する微細加工技術の確立を目指していく。花粉管・胚珠といった微小でシステム化された組織を利用するボトムアップの手法を確立することにより、低コストでナノスケール精度を実現するマイクロ・ナノデバイ図の開発技術に繋げることが目的である。特に、容易なスケールダウン化、高アスペクト比・三次元・任意形状の製作技術は微細加工学において非常に重要性の高い技術であるため、これらの技術へ直結可能な成果を出したい。 具体的な研究計画・方法として、①花粉管を利用した金属材料のパターニング方法についての検討②高アスペクト比・三次元微細構造体等のマイクロ・ナノデバイス構成部品に要求される微細パーツ製作に必要な知見の所得③ナノスケールオーダーの加工をめざし、パターニングのスケールダウン化についての検討④花粉管誘引物質を利用した任意形状のパターニング方法について検討、これら4項目を進めていくことにした。 当該年度においては、本研究課題のなかでも特に重要度の高い、④花粉管誘引物質を利用した任意形状のパターニング方法について検討、について主に取り組んだ。具体的には、細胞の操作・伸長経路の制御手法について検討した。これまでの研究成果では流路内でのみ操作可能であったため、流路を用いずに自由に制御・操作する手法を考案した。本研究課題による成果は、国際学会で1件、国内学会で5件の報告を行った。
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