研究課題/領域番号 |
24760102
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
安部 洋平 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60402658)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 板材成形 / しごき加工 / サーメット / ヘテロ表面 / 焼付き / ステンレス鋼 / アルミニウム合金 |
研究概要 |
電気自動車,ハイブリッド自動車や電力のスマートグリッドの普及のためには高容量バッテリーの開発が急務である.バッテリーの金属ケースはステンレス鋼またはアルミニウム合金製が利用され,現状のケースの製造は多段の深絞り加工であり,ケースの肉厚分布が最適でなく容量が小さくなっている.提案する加工法は,深絞り加工としごき加工を組み合わせてケースの肉厚分布を均一な薄肉化にして高容量のケースを製造できる.ステンレス鋼,アルミニウム合金と従来の工具鋼の親和性は高いためにしごき加工でダイスと板材の焼付きが問題となる.そこで,耐焼付き性の高いサーメット製ダイスの利用と,ダイス表面をヘテロ構造にして加工中に潤滑剤を界面へ供給して焼付きを防止するしごき加工法を行った.しごき加工試験装置は,実製品に近い円筒しごき加工装置として,荷重,変位,加工後の容器を観察できるようにした.ステンレス鋼またはアルミニウム合金製容器に対して焼付き防止に有効なダイス材質は,工具鋼,超硬合金,TiCNサーメットで比較すると,TiCNサーメットが最も有効であった.表面の形状は0.05μmRaから0.12μmRaのショットピーニングとラッピングを組み合わせたTiCNサーメットが最も限界が高かった.現在の所,潤滑剤がないと焼付き限界が改善されなく,塩素系の潤滑剤で最も有効であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
耐焼付き性の高いサーメット製ダイスとしてTiCN系サーメット製ダイスが選ばれた.ステンレス鋼,アルミニウム合金に対して調査され,従来の超硬合金,工具鋼と比較して,TiCN系サーメット製ダイスの耐焼付き性の高いことがしごき加工実験によって示された. 耐焼付き性の高いサーメット製ダイスとしてTiCN系サーメット製ダイスの表面をヘテロ構造にして加工中に潤滑剤を界面へ供給して焼付きを防止するしごき加工法が開発され,ヘテロ表面のTiCN系サーメット製ダイスの焼付き限界が高いことが示された.
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今後の研究の推進方策 |
TiCN系サーメット製ダイスの表面をヘテロ構造にして限界を向上でき,最適な表面形状が選定されつつあるが,潤滑剤の成分,供給量との関係が明確になっていない.また,計画のようにシミュレーションによる圧力分布の解析も必要である.
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次年度の研究費の使用計画 |
実験に必要な消耗品,情報集めの旅費などを中心に支出していく.
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