研究課題
接触剛性が接触面に分布する剛性の和で決まると仮定し,検証を行った.炭素鋼に関して,ダイヤモンド圧子を用いた押し込み試験によって測定した微小な領域での分布剛性と,従来の方法で測定した比較的大きな領域での分布剛性を比較した.その結果,押し込み試験での試験力を400~600mNとした場合,測定した2つの分布剛性はほぼ一致した.しかし,試験力を50~400mNとした場合は微小な領域での分布剛性の方が2~3倍程度大きくなった.また,押し込み試験での試験片の変形挙動は他機関における理論解析の結果と定性的に一致していた.これらの結果と表面粗さによる接触面の微小な起伏を考えると,接触面に分布する剛性は微小な起伏による接触荷重の分布によって異なり,比較的大きな領域での分布剛性は,その平均値を測定していると考えられる.本検証は炭素鋼の他にアルミニウム合金を用いて行った.コンクリートに関しては,本検証で用いた押し込み試験機に設置できる大きさかつ形状精度の試験片の作成が難しかったため,検証していない.炭素鋼,アルミニウム合金,鋳鉄,一般構造用鋼に関して,接触面に平行な方向の接触剛性と垂直な方向の接触剛性,およびそれぞれの方向の分布剛性を測定した.また,炭素鋼,鋳鉄 ,一般構造用鋼に関しては,コンクリートと接触した場合の接触剛性と分布剛性を測定した.その結果,コンクリートの分布剛性が金属の分布剛性と比較して数十分の一であり,非常に小さいことがわかった.接触面の角度を変化させて3次元の接触剛性を制御することができるかを試みた.接触面が平面である試験片とテーパ面である試験片を製作し,剛性を比較した.しかし,想定した剛性の変化は得られなかった.これは,2つの試験片のバルク剛性が等しいと仮定したが,実際はテーパ面をもつ試験片のバルク剛性が低下したことが原因と考えられる.
2: おおむね順調に進展している
微小な領域での分布剛性と比較的大きな領域での分布剛性を比較したことで,接触面に分布する剛性は一定ではなく,微小な起伏による接触荷重の分布によって異なる可能性があることがわかった.さらに,4種類の材料に関して,接触面に平行な方向の接触剛性と垂直な方向の接触剛性が得られた.また,一般的にマウントに使用する材料に関してはコンクリートと接触した場合の接触剛性と分布剛性が得られた.以上の成果は研究計画をおおむね満たしているため.
研究計画に基づき,特定の方向への振幅が大きいロッキング振動が生じないようなマウントの配置を考える.また,得られた結果をまとめてマウントを設計する方法を考案する.大学キャンパス移転のために,圧縮試験機とダイナミック超微小硬度計の頻繁な使用が困難となった.このため,圧縮試験機に代わる小型の接触剛性測定機を製作する.
該当なし
すべて 2012 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Key Engineering Materials
巻: Vols. 523-524 ページ: 457-462
10.4028/www.scientific.net/KEM.523-524.457
http://mmc.me.kyoto-u.ac.jp/people/kono/index.html