研究課題
本研究では,工作機械の動特性を評価基準としたマウントの設計論を構築する.このために,接触剛性の決定メカニズム,金属とコンクリートの3次元の接触剛性,工作機械・マウント・床に使用している材料表面の分布剛性と硬さおよび工作機械の3Dモデルからマウントを設計・配置する方法について調査,検討し,以下の成果が得られた.(1)接触剛性が接触面に分布する剛性の和で決まると仮定し,検証を行った.炭素鋼に関して,ダイヤモンド圧子を用いた押し込み試験によって測定した微小な領域での分布剛性と,従来の方法で測定した比較的大きな領域での分布剛性を比較した.すると,2つの分布剛性は,試験力によって一致する場合と一致しない場合があった.この結果から,接触面に分布する剛性は微小な起伏による接触荷重の分布によって異なり,比較的大きな領域での分布剛性は,その平均値によって決まると考えられる.(2)炭素鋼,アルミニウム合金,鋳鉄,一般構造用鋼に関して,接触面に平行な方向の接触剛性と垂直な方向の接触剛性,およびそれぞれの方向の分布剛性を測定した.また,炭素鋼,鋳鉄,一般構造用鋼に関しては,コンクリートと接触した場合の接触剛性と分布剛性を測定した.その結果,コンクリートの分布剛性が金属の分布剛性と比較して数十分の一であり,非常に小さいことがわかった.(3)支持剛性をバルク剛性と接触剛性の直列結合とする剛性モデルを提案した.提案したモデルに基づき,特に問題となるロッキング振動を低減するために,ロッキング振動の固有振動数を最大化するマウントの設計・配置法を考案した.また,ほとんど荷重を作用させないマウントを追加し,ロッキング振動の減衰比を増大させる方法を考案した.提案する方法の効果を,工作機械の小型模型と横型フライス盤を用いて検証し,最低次の振動モードであるロッキング振動の固有振動数と減衰比を増大させることができた.
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Precision Engineering
巻: Vol.37, Issue 3 ページ: 650-657
10.1016/j.precisioneng.2013.01.010
http://mmc.me.kyoto-u.ac.jp/people/kono/research_top.html