研究課題/領域番号 |
24760106
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松本 良 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50362645)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 塑性加工 / 鍛造 / サーボプレス / トライボロジー |
研究概要 |
申請者が考案した「サーボプレスのスライドモーション制御と潤滑油流路を有するパンチを活用したパルス穴成形加工法」について,今年度は,1.難加工材であるチタンの穴成形加工に応用し,焼付き・かじり疵を生じることなくチタンの穴を加工すること,2.パルス加工の加工原理について他加工への応用展開を検討開始すること,3.パルス付加が塑性加工特性に及ぼす影響を調べることを中心に取り組んだ. 1.チタンの穴成形加工については,まずチタンの冷間鍛造における液体潤滑油の潤滑特性の評価を行い,チタンのパルス加工において,焼付き,かじり疵防止に有効な液体潤滑油(添加物,粘度)を選定した.次に開発した液体潤滑油を用いて,純チタンのパルス穴成形加工を行い,適切なパンチモーションを導出し,焼付き・かじり疵を生じることなく穴深さ/直径比=2の穴を得た.また理論上,穴深さ/直径比=14の深穴を焼付き・かじり疵を生じることなく加工可能であることも分かった. 2.他加工への応用展開については,1,2で得られた知見を基に,パルス加工の加工原理を押出し加工,深絞り加工,しごき加工等へ適用することを念頭にCAEソフトによるFEM解析を開始した. 3.パルス付加が塑性加工特性に及ぼす影響については,アルミニウム合金のパルス穴成形加工において,加工モーションと加工穴の塑性変形について実験およびCAEソフトによるFEM解析により調べた.パルス付加により高い形状精度を有する穴が加工可能なことが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の当初の目標としたのは,1.難加工材であるチタンの穴成形加工に応用し,焼付き・かじり疵を生じることなくチタンの穴を加工すること,2.パルス加工の加工原理について他加工への応用展開を検討開始することである. 1.チタンの穴成形加工については,チタン加工に有効な液体潤滑油を選定でき,適切なパンチモーションを導出し,穴深さ/直径比=2の穴を焼付き・かじり疵を生じることなく加工できることを実験で確かめたため,当初の目標を達成できたものと考える. 2.他加工への応用展開の検討については,押出し加工,深絞り加工,しごき加工への応用展開の可否を,CAEソフトによるFEM解析による検討を開始できたため,当初の目標をおおむね達成できたものと考える. さらに今年度の当初の目標以外に,パルス付加が塑性加工特性に及ぼす影響について調べ,加工モーションと加工穴の形状精度について知見を得たことは当初の目標以上の成果が得られたものと考える.
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今後の研究の推進方策 |
今年度に取り組んだ2.パルス加工の加工原理について他加工への応用展開を検討開始することについては,継続して取り組み,CAEソフトによるFEM解析で得られる知見を基に,例えば,押出し加工,深絞り加工,しごき加工の実験用金型を作製し,パルス加工の実験を行う.これにより,他加工でのパルス付加の有効性を調べ,最適加工条件,加工限界を導出する. また,今年度に取り組んだ3.パルス付加が塑性加工特性に及ぼす影響について,継続発展させ,サーボプレスによるパルス付加条件(例えば,振幅,周波数,付加回数)が塑性加工特性へ及ぼす効果(例えば,潤滑特性の向上,加工荷重の低減,割れ発生の抑制)を体系的に整理し,パルス付加効果のメカニズムを解明する. さらに得られた知見を総合して,「潤滑油流路付き金型を用いた塑性加工法」の拡張性を議論し,本加工法の実用化を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし.
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