研究実績の概要 |
本研究では,触媒を用いた化学エッチングを応用した微粒子・薬液フリー平坦化法を開発し,既存の技術では実現することが困難であったダメージレス超平坦GaN表面を高能率かつ安定的に創生することを目的とした.具体的には(1)加工の大面積化/高速化,(2)表面性能評価,(3)デバイス試作/評価の3点の項目を軸に研究を実施した.以下に各研究開発項目で得られた成果を示す. (1)2インチGaN基板をウェハスケールで均一に平滑化することを目的とした研究を行った.加工条件や基板保持機構を最適化した結果,原子間力顕微鏡(AFM)による測定により,2インチウェハ全面にわたって表面粗さ0.1 nm RMSが得られ,当初の目標を達成した.一方,ウェハのさらなる大口径化も予定していたが,ウェハの入手が困難であったため,2インチウェハでの評価に留まった.加工速度の向上においては,紫外光照射(J. Murata, et. al., Electrochimica Acta, in press)や電圧印加を併用することで加工速度が向上し,加工時間の大幅な短縮に成功した(S. Sadakuni et. al., Jpn. J. Appl. Phys., 53 (2014) 036504). (2)オプトエレクトロニクスデバイスへの応用を考慮した際に,GaN表面の物性として特に重要となる発光特性を中心に評価を行った.開発した加工により表面のダメージ層が除去される(J. Murata et. al., J. Cryst. Growth, 349 (2012) 83)ことから,フォトルミネッセンス発光強度が向上することが確認された(A. N. Hattori et. al., Jpn. J. Appl. Phys., 53 (2014) 021001). (3)加工を行ったGaN表面に単純構造のショットキーバリア接合を形成しその電気特性を評価した.その結果,加工前の表面と比較して逆方向のリーク電流の低減などが確認され,電気特性が改善されることを明らかとした.
|