研究実績の概要 |
1枚の紙を折ることで得られる形状の設計理論とその応用に関する研究を継続して行った。 最終年度である本年度には、4年に一度のペースで開催されている折り紙の国際会議(The International Meeting on Origami in Science, Mathematics and Education)が東京大学で開催されたため、そこでの研究発表に注力し、代表者の関わった研究について7件の口頭発表を行った。これらの研究には、次のようなものが含まれる。まず、2つの交差する可展面から構成される形状を1枚の紙を切らずに作り出すために、2つの可展面の間を接続する第3の可展面を追加する方法の考案を行った。追加の際には、それぞれの可展面が展開図上で隙間なく接続する必要があるが、これを3次元の曲線折りの理論を離散表現し、隙間をゼロとする解を最適化手法で求めることで実現した。次に、折り線パターンから折り工程を復元する理論の考案を行った。折り線の情報から折った状態の形は復元できるため、折り線を減らしながら折りの形状を徐々に単純化し、その工程を逆に見ることで、折り工程を再現することを実現した。これらの研究以外にも、直交するプリーツ折りの設計論、回転対称性を持つ折り紙の拡張、切り込みを許容することによる新しい形状設計理論の提案、ランダムな折り操作の適用による新しい折り形態の発見支援などがある。これらの研究成果は、本研究課題の集大成として位置づけられる。これらの研究成果を通して、折り操作によって作ることができる幾何形状の拡張が実現し、さらなる研究の発展に貢献できたものと考えている。
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