研究課題
工業製品のライフサイクルを通じたエネルギー消費量,環境負荷,資源消費量,コストを最小化し,同時にその機能や価値を向上させるには,製品のみならず,そのライフサイクル全体を考慮した統合的な設計を実現することが求められる.本研究では,製品の生産から再資源化に至るライフサイクルプロセス全体の流れを計算機上で明示的に設計・評価するためのモデルを提案し,このライフサイクルモデルに基づいて製品の資源循環戦略を策定するための方法論を開発した.また,ライフサイクルモデルと製品構造との関係を形式化することで,メンテナンス,リユース,リマニュファクチャリング,リサイクルといった資源の循環戦略に応じた製品構造を導出するための手法を開発した.一般に,工業製品はライフサイクルを通じて種々に状態が変化する.例えば,分解プロセスによって製品は部品単位に分かれ,リサイクルプロセスによって素材に戻される.従来の製品設計を対象とした設計モデルでは,このような製品状態の多様性を扱うことが出来なかったが,本研究で提案した統合モデルは,製品の構造や属性値がライフサイクルの各プロセスを通過することによって次々と変換されていく「変換の連鎖」として定式化されており,この表現形式によって様々な製品の状態を表現することが可能となった.上記のライフサイクルモデルに基づいて,製品とライフサイクルの統合設計支援環境であるライフサイクルCADシステム(LC-CAD)のプロトタイプを構築し,さらに,離散事象シミュレーション技術をこのシステムに用いることで,ライフサイクル設計の各段階における製品の環境性や経済性の定量的な評価・分析を可能にした.
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)
International Journal of CAD/CAM
巻: Vol.13, No.2 ページ: 73-79
CIRP Annals - Manufacturing Technology
巻: Vol.62, No.1 ページ: 135-138
10.1016/j.cirp.2013.03.060