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2013 年度 実績報告書

電気化学的手法を応用した人工関節材料表面の吸着膜の機能評価

研究課題

研究課題/領域番号 24760122
研究機関九州大学

研究代表者

中嶋 和弘  九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70315109)

キーワード人工関節 / 蛋白質 / 吸着膜 / 電気化学測定 / 低摩擦 / 低摩耗
研究概要

人工関節の摩擦特性に影響を与える,生体関節液に含まれる蛋白質吸着膜についての検討を行った.昨年度までに蛋白質吸着膜がCoCrMo合金表面の酸化膜と同様な機能を持つことが明らかにし,摩擦試験中に蛋白質が剥離していることを示した.本年度は蛋白質吸着膜の構造に着目し,摩擦が吸着膜に与える影響,特に膜構造メカニズムについて検討した.
電気化学的測定から,基板上に静的吸着した牛血清アルブミン(BSA)は摩擦負荷により直ちに剥離することが明らかとなった.摩擦負荷を繰り返すと吸着膜が成長することが観察された.一方,ヒト血清γグロブリン(HGG)では摩擦負荷による蛋白質の剥離は観察されなかった.吸着量の測定から,摩擦負荷下で形成されたHGG膜に対してはBSAの静的吸着は4ng/cm2と非常に少なく,HGGは24ng/cm2であり,基板への吸着量とほぼ同じであった.静的に吸着したHGG膜に対してはBSAの静的吸着量は76ng/cm2,HGGの静的吸着量は66ng/cm2であり,摩擦負荷下で形成されたHGG膜は特徴的な表面特性を持つことが明らかとなった.本研究の結果により以下のメカニズムが明らかとなった.
BSAとHGGを含む潤滑液中では基板上へBSAとHGGが静的に吸着する.その静的吸着膜にせん断が与えられると,BSAが剥離しHGGは基板上へ残留するためHGGを多く含む蛋白質吸着膜が形成される.この摩擦負荷により形成された吸着膜はBSAの吸着が非常に少ないという特性を持つため,HGG膜へはHGGが多く静的吸着する.静的吸着したHGGはさらに摩擦負荷を受けることにより,HGGを多く含む吸着膜が成長する.この過程を繰り返すことにより,HGG単一の吸着膜が形成される.BSAはHGG膜上に存在するが,HGG膜との吸着力が弱いため,吸着膜で滑りが発生し低摩擦低摩耗を実現する.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013

すべて 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Protein Adsorption Film Observation by Using Electrochemical Method2014

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiro Nakashima
    • 学会等名
      バイオメカニクス研究センター&エレクトロニクス実装学会 九州支部合同研究会
    • 発表場所
      福岡市
    • 年月日
      20140304-20140304
  • [学会発表] Effect of protein film on tribological property of joint prosthesis materials2013

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiro Nakashima
    • 学会等名
      Kyushu University and Brno University of Technology joint seminar
    • 発表場所
      Czech Republic
    • 年月日
      20131121-20131121
    • 招待講演
  • [学会発表] 蛋白質吸着膜の摩擦負荷による変化のその場観察2013

    • 著者名/発表者名
      中嶋 和弘
    • 学会等名
      生体医工学シンポジウム2013
    • 発表場所
      福岡市
    • 年月日
      20130921-20130921
  • [学会発表] Behavior of Adsorbed Albumin film on CoCrMo Alloy under In-situ observation2013

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiro Nakashima
    • 学会等名
      5th world tribology congress 2013
    • 発表場所
      Italy
    • 年月日
      20130910-20130910
  • [学会発表] POLY (VIVYL ALCOHOL)ハイドロゲルの変形特性と摩擦特性2013

    • 著者名/発表者名
      中嶋 和弘
    • 学会等名
      第36回 バイオレオロジー学会 年会
    • 発表場所
      福岡市
    • 年月日
      20130607-20130607
  • [学会発表] 摩擦挙動に寄与する蛋白質吸着膜の構造2013

    • 著者名/発表者名
      中嶋 和弘
    • 学会等名
      トライボロジー会議 春 東京 2013
    • 発表場所
      東京都
    • 年月日
      20130522-20130522

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公開日: 2015-05-28  

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