研究課題/領域番号 |
24760123
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
茅原 崇徳 首都大学東京, システムデザイン学部, 助教 (00582967)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 人間工学 / 設計工学 / 身体負担 / 人間生活環境 / モデル化 / バイオメカニクス / 心理物理学 / 応答曲面 |
研究概要 |
本研究では,人間の筋骨格系の構造を力学的なモデル(生体力学モデル)で表現し,生体力学モデルを基に人間の負担感を評価して人間工学的設計を行う手法の開発を目的としている.生体力学モデルを用いた身体負担の解析(生体力学解析)では,身体の各関節にかかるモーメント(関節モーメント)を用いて身体負担を評価する.そこで,本年度は身体の各関節における関節モーメントと主観的負担感との関係について検討を行った.男性10名を被験者とし,任意の関節モーメントを付加するシステムを構築し,上肢の12の関節運動方向(肩関節の伸展・屈曲・内転・外転・内旋・外旋と,肘関節の伸展・屈曲,手関節の伸展・屈曲・尺屈・橈屈)に対して任意の関節モーメントを付加した際の主観的負担感を50段階で計測した.計測結果をもとに,主観的負担感を目的変数,関節モーメントの大きさを説明変数として三つの近似モデル(線形関数,指数関数,ロジスティック関数)を用いて応答曲面を作成した結果,ロジスティック関数を近似モデルとして使用することで主観的負担感を比較的精度よく近似できることを確認した.また,個人差による主観的負担感のばらつきを人体寸法や握力等のパラメータを用いて表現することは困難であることがわかった.さらに,肘関節の屈曲を除くすべての関節運動方向の主観的負担感を同一の評価式で表現することが可能であることを明らかにした.次に,男女各5名ずつを被験者とし,肩関節と肘関節の屈曲角を変えて同様の実験を行い,性別と関節角度が応答曲面に与える影響を定量的に評価した.その結果,性別と関節角度が変化しても応答曲面がほとんど変化しないことから,関節モーメントと主観的負担感との関係を定式化する上で,性別と関節角度の影響は無視できることを明らかにした.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
任意の関節モーメントを付加するシステムを構築し,関節モーメントの大きさから主観的負担感を予測する近似式を作成した.また,近似式の類似度を定量的に評価し,必要な計測箇所の絞り込みを行うことができた.さらに,関節角度の違いが関節モーメントと主観的負担感との関係に与える影響についても定量的に評価した.上記のように,当初の計画通りに研究を遂行できている.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降は,関節モーメントによる総合的な主観的負担感の評価指標の作成と,実際の製品・作業環境への応用を行う.具体的には,複数の関節に任意の関節モーメントを同時に与え,総合的な負担感を評価する実験を行い,身体負担の総合評価関数を定式化する.さらに,実際の製品・作業環境を想定した問題において,定式化した総合評価関数をもとに身体負担を評価し,被験者が感じる負担感との相関関係から総合評価関数の妥当性を検証する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|