研究課題
本年度は,前年度に提案した上肢のみを対象とした総合負担評価関数を拡張し,全身の総合負担評価関数の定式化を行った.重量物の保持タスクを被験者に課して総合負担感を計測し,総合負担評価関数の作成に必要なデータを取得した.具体的には,保持位置と重量を変化させて荷物を保持させ,その際の姿勢(関節角度)と総合負担感を計測した.計測した姿勢から各関節モーメントを計算し,3つの近似モデル(関節モーメントの和,最大値,二乗和)を設定して総合負担感の応答曲面を作成した.なお,近似モデルは前年度までの結果を参考にロジスティック関数をベースに作成した.その結果,関節モーメントの和を用いた応答曲面の近似精度が他の2つと比較して有意に高くなった.そこで,関節モーメントの和を総合負担評価関数の近似モデルとして採用した.また,総合負担評価関数に性別による有意な差が確認できなかったことから,男女で単一の評価関数を定式化した.次に,定式化した評価関数の予測精度を,観察に基づいて総合負担を評価する従来手法と比較した.比較には,代表的な観察法であるOvako Working Posture Analysing System,Rapid Upper Limb Assessment,Rapid Entire Body Assessment,およびNIOSH lifting equationの4つを用いた.その結果,総合負担評価関数の予測精度が従来手法と比較して高いことを定量的に評価した.さらに,定式化した総合負担評価関数を作業台高さの設計に適用し,評価関数の有効性について検討を行った.定式化した評価関数から求めた総合負担感は実験の結果とおおむね一致しており,提案する評価関数が実際の設計に応用可能であることが裏付けられた.
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)
Journal of Advanced Simulation in Science and Engineering
巻: Vol.1, No.1 ページ: 36-50
10.15748/jasse.1.36