最終年度には,作製した竹歯車の動的な性能試験を実施した.成形温度を160℃,180℃,200℃として竹歯車を作製し,歯車をかみ合せ,歯車動力試験機を用いて,負荷をかけて10000000回転まで運転した.その際の騒音,歯面温度および試験後の摩耗量を測定し,実際に使用されているPOM(ポリアセタール)製歯車と比較した. その結果,回転速度1000rpm,負荷トルク0.5Nmの場合,竹歯車はPOM歯車と同様に10000000回転まで,破損せず試験に耐えることができた.その際,歯車の温度の上昇は,160℃,180℃,200℃で成形した竹歯車とPOM歯車では,全ての歯車において約10℃となり,同程度の温度上昇になった. 騒音についても,全ての歯車において,約85dBとなり,同程度の騒音の値となった.試験後の摩耗量については,成形温度が上がるにつれて小さくなり,成形温度160℃で,0.0620g,180℃で0.0176g.200℃で0.0052gであった.POMは0.0061gとなり,200℃で成形した竹歯車と同程度の値となった. 研究期間全体を通じた研究成果としては,竹粉を用いて歯車を成形する際,歯車成形用の金型を用いて成形するよりも,円筒状の予備成形体を作製し,ホブ盤を用いて加工する方法が,より精度のよい竹歯車を作製できること.本手法により作製した竹歯車は9級の精度を有し,POM歯車と同等の精度を有すること.動力試験を行った結果,10000000回転まで耐えうること.騒音,歯面温度はPOM歯車と同程度の値を示すこと.摩耗量は200℃で成形した竹歯車が小さくなり,POMと同程度の値を示すこと.以上のことを明らかにした.
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