研究概要 |
二元系及び三元系溶融合金を電磁浮遊法により浮遊させた液滴に静磁場を印加し、流れを抑制した場合や、溶融液滴を自由落下させるdrop tube法などの様々な無容器急速凝固法により凝固させた場合において、形成する微細組織が異なる(Cao et al., Scripta Materialia, 2003; Gao et al., J. Phys., Conf. Ser.144, 2009; Luo et al., J. Appl. Phys., 2009)ことが知られている。これらは材料が同じにもかかわらず、液滴内部の流動状態が全く異なるために引き起こされると考えられている。そこで、直接数値計算による静磁場印加時の電磁浮遊液滴内の乱流構造の解明および静磁場印加電磁浮遊法によるCuCo合金による相分離実験を行った。 直接数値計算の結果、静磁場をより強く印加するに従って、乱流域では時間平均された速度分布は、変化は小さく、乱流成分のみが静磁場により減衰されることが分かった。また、より強く静磁場が印加された層流域では、速度分布は静磁場強度のおよそ-2乗にしたがい、遅くなることが分かった。また、相分離実験結果から、静磁場を印加することにより、電磁浮遊液滴内に現れる構造は、滴状であり、静磁場をより強く印加すると、現れる構造は粗大化することが分かった。その際の粗大化の程度は、低磁場域では、磁場強度の増加に対して、緩やかに構造は粗大化するが、ある磁場強度以上になると急激に粗大化が進行した。直接数値計算により得られた計算結果を無次元化し、相分離実験の条件に換算したところ、粗大化が急激に進行する静磁場強度は、およそ乱流と層流の遷移域に相当することが分かった。今後、詳細を検討する予定である。
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