研究課題/領域番号 |
24760128
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
佐々木 大輔 金沢工業大学, 基礎教育部, 講師 (60507903)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 流体工学 / 空力騒音 |
研究概要 |
本研究では,移動物体から生じる空力音が流体・固体領域を伝播する音響解析手法の構築を目的として実施しており,これにより飛行中の航空機客室内の騒音解析や航空機外部の騒音解析が可能になることが期待される.空港付近の住民の騒音低減を図ることに加えて,乗客に対する機内騒音を低減することが可能になる本手法の有効性を確立することは,非常に重要である.本手法の確立のためには,固体内の音響伝播解析手法,流体・固体を伝播する空力音響解析手法,三次元化への拡張と検証といった要素研究が必要となる.今年度は,複雑な物体に対する固体内の音響伝播解析手法の構築を目的として,物体境界面の形状再現性向上のために境界埋め込み法の開発と構築を行った.境界埋め込み法には様々な手法が提案されており,現在固体内を通過するテスト計算を行い,有効な手法の検討を行っている.一方,飛行中の航空機からの騒音解析のためには,流れ場と音響場をカップリングした空力音響解析手法の構築も不可欠であり,その構築を行った.テスト計算として,ジェットエンジンから発生するファンノイズを模擬して空力音響解析を行った.実験値との比較により,実験結果を十分に再現することが可能であることから,その有効性を示すことができた.しかし,実際の問題を扱うためには,より大規模な空力音響解析問題を解く必要があり莫大な計算時間が必要となる.その計算時間を短縮するためには,大規模並列計算機上で並列計算を行う必要があり,現在プログラムの並列化も同時に進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
流体・固体領域を伝播する空力音の統一的解析技術の確立に向け,現在2次元空間において境界埋め込み法に基づく流体と固体の音響伝播解析法の構築を進めている.固体内(物体壁面)の音響伝播解析法として使用しているFDTD法に境界埋め込み法の適用を図り,曲面での精度向上を目指しているが,まだ検証中の段階である.一方,流体側の音響伝播解析に関しては境界埋め込み法による精度向上を検証済みである.本手法の有効性を十分に検証して確立することで,音響透過をも含む音響解析技術の構築が可能となる.
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今後の研究の推進方策 |
現在進めている,固体内(物体壁面)を通過する音響伝播解析の検証を早めに終わらせて有効な手法を確立し,流体と固体の境界面を通過する音響伝播解析手法へと拡張を図る.次いで,流れ場と音響場の解析をカップリングさせた空力音響伝播解析手法との統合を図り,固体内部の音響伝播解析を組み込んだテスト問題でその有効性を確かめる.以上の研究により,2次元における固体領域の音響透過を含む空力音響伝播解析法の有効性が確立し,3次元への拡張を図ることができる.3次元への拡張後,実問題を用いてその有効性を実証する.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は2次元におけるプログラム開発及び検証を進めたため,大規模なメモリを必要とする計算機の購入は行わなかった.今年度は,流体と固体の境界面を通過する音響伝播解析手法の検証計算,実問題に対応する3次元計算を実施予定であり,大容量メモリを搭載した計算機を購入予定である.大規模計算に際し,出力される計算結果の保存や可視化のために必要な物品としてハードディスクや可視化ソフトウェアの購入を行う予定である.
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