研究課題/領域番号 |
24760130
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
西 泰行 茨城大学, 工学部, 准教授 (50585122)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ターボ機械 / 汚水用ポンプ / 遠心羽根車 / 一枚羽根 / ポンプ性能 / 内部流れ / 変動流体力 / 異物通過性 |
研究概要 |
エネルギー・環境問題や人口増加に伴う水・食料問題に付随して、下水や食品流体等の大小様々な固体が混入した固液混相流を高効率かつ安定的に移送できるターボポンプの開発は大きな課題である。本研究は、汚水用ポンプとして通過粒径(ポンプ内流路の最小粒径)を大きく形成した一枚羽根遠心ポンプの複雑非定常内部流動と、それに基づく損失生成機構及び変動流体力発生機構を統合的に明らかにし、高性能・高信頼性化を実現するための設計指針を確立することを目的としている。本年度に実施した研究成果は、以下の通りである。 1. すき間幅及び羽根出口角が性能と変動流体力に及ぼす影響の調査 過去の一連の研究で使用した出口角8°のクローズド形羽根車について、現状のライナリングすき間幅0.75mmを1.5mmに変化させ、実機モデル(羽根車外径194mm)用の実験装置を用いて性能試験、圧力計測及び半径方向スラスト計測を実施した。さらに、ライナリングすき間幅0mm、0.75mm、1.5mm、3.0mmの数値解析を行い、ライナリングすき間幅が性能、半径方向スラスト及び軸方向スラストに及ぼす影響を把握した。 また、出口角8°と16°のクローズド形羽根車について、実機モデル用の実験装置を用いて性能試験、圧力計測及び半径方向スラスト計測を実施した。さらに、新規設計した出口角24°の羽根車を含む3種類の羽根車について数値解析を行い、羽根出口角が性能、半径方向スラスト及び軸方向スラストに及ぼす影響を把握した。 2. 縮小モデル用実験装置の設計・製作と性能試験 羽根車及びケーシング形状を様々に変化させて性能試験及びポンプ内部の可視化ができるように、縮小モデル(羽根車外径110mm)用の実験装置を新たに設計・製作した。この実験装置を用いてオープン形及びクローズド形羽根車の性能試験を実施し、側板の有無が性能に及ぼす影響を把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実機モデルによる研究では、ライナリングすき間を大きく変化させて実験できなかったが、数値解析では実施でき、すき間幅が性能と変動流体力に及ぼす影響を把握できた。さらに、当初計画していなかった羽根出口角が性能と変動流体力に及ぼす影響も把握することができた。 縮小モデルによる研究では、性能試験及びポンプ内部の可視化ができる実験装置を計画通りに完成させることができた。さらに、この実験装置を用いてオープン形及びクローズド形羽根車の性能試験を実施することができ、側板の有無が性能に及ぼす影響を把握できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、実機モデルによる研究では、平成24年度の数値解析結果に基づき、さらに詳細に変動流体力について検討する。また、損失解析を行い、性能と内部流動との関係性について検討する。 縮小モデルによる研究では、実機モデルと同様に数値解析を実施し、実験結果と比較して妥当性を検証する。その上で、側板の有無が内部流動や変動流体力に及ぼす影響について詳細に検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本ポンプの数値解析を実施するために必要なソフトウェアの年間保守費用に使用する。
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