研究課題/領域番号 |
24760131
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
舩谷 俊平 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (50607588)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 可視化計測 / LIF / PIV / 3次元計測 |
研究概要 |
平成24年度は、1、家庭用空調機器の熱交換器周りを想定した温度範囲(0℃~80℃)で計測できる。2、従来の手法(NO-LIF)と比較して十分小さい温度計測誤差(1.0K以下)で計測できる、の2点を研究目標とし、研究を実施した。 1、気体の温度計測手法の構築 本年度の可視化計測実験では、ローダミンB、ローダミン110を溶解した液体(グリコール系溶剤)を微粒化し、それを計測対象となる雰囲気中に噴霧し、この噴霧液滴に対して側方からレーザーシート光を照射し、正面から高感度カラーカメラを用いて可視化画像を取得し、得られた可視化画像を処理することとした。その結果、2種類の蛍光染料の輝度比の空間分布を算出することができた。 2、温度計測の誤差要因の解明と計測精度の向上 本研究で用いたグリコール系溶液は、計測領域内で僅かずつ沈降し、計測領域内に存在する液滴数の減少とともに、レーザー光を照射した際の蛍光強度も減少する。こうした蛍光強度の減少の影響は、2色LIF法を用いることで打ち消すことができ、温度変化の影響のみ可視化することが可能であると予想されるが、完全には打ち消すことができず、温度計測誤差の要因の一つとなることが考えられる。そこで、液滴沈降による温度計測誤差について詳細に評価した。また、速度計測との同時計測を行うにあたり、速度計測精度の向上を図るため、気体温度計測に用いた高感度カラーカメラを用い、高精度カラーPIV計測システムを開発し、その計測精度を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的に設定した、本年度の数値目標(温度計測範囲:0℃~80℃、温度計測誤差1.0K以下)に対し、研究実績概要に記載の装置開発、評価実験を行った結果、温度計測範囲:0℃~60℃、温度計測誤差0.99Kを実現することができ、概ね良好な達成度であると言える。 温度計測範囲については、高温側の評価実験に適した評価装置の完成が間に合わず、評価実験が未実施であるが、予備実験の結果から、100℃程度まで伸ばすことが可能であることが予想される。温度計測誤差については、数値目標を達成することができた。来年度以降、蛍光液滴の噴霧手法等の改良により液滴の沈降量を減らすことで、温度計測誤差については更に改良の見込みがある。 また、速度計測との同時計測を行うにあたり、気体温度計測に用いた高感度カラーカメラを用い、高精度カラーPIV計測システムを開発し、その計測精度を評価した結果、従来のPIV法と同等の計測精度(5%FS)を実現できることが分かり、3次元温度・速度同時計測システムの実現に有望な見通しが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の目標は、1、温度場、速度場の3次元同時計測を実現する2、電子基盤用加熱炉を想定した温度計測範囲(0℃~250℃)で計測できる、の2点としている。当初の研究実施計画では、蛍光染料噴霧による気体の温度計測システムを3次元計測に拡張する手法として、スキャニングミラーを用いてレーザービームを走査することとしている。この走査手法を更に改良し、当年度特許出願予定の新手法に変更する。この新手法に関して、可視化計測の専門家が一堂に会するPIV2013国際会議において報告し、計測精度等について議論する予定である。 最終年度(平成26年度)の目標は、実機(電子基盤用加熱炉)の熱交換器周りの温度分布計測を行うことができる計測システムを提供することとしている。当初の研究実施計画では、計測領域内に蛍光液滴を一様に噴霧するため、可視化実験専用の煙発生器(ミスト粒径1ミクロン以下)を導入することとしていた。これを可視化専用品ではなく、ミスト粒径3ミクロン以下の汎用品に変更することも検討している。低コストの汎用品とすることで、計測システムの低コスト化を図ることができ、産業界への導入を促進する効果も期待できると見込んでいる。導入する煙発生器の仕様の詳細については、最終年度までに行う評価実験の結果をもとに決定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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