研究課題/領域番号 |
24760133
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
鈴木 博貴 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10626873)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 機械工学 / 流体工学 / 流体機械 / 乱流 / 国際情報交換(仏国) |
研究概要 |
粗面壁乱流の数値解析を行った.片側が滑面・片側が粗面の平行平板間乱流を設定した.単一スケール/多重スケール粗面壁とした.矩形型粗面の間隔を様々に設定した.粗面壁乱流中の熱輸送についても解析を行った. 粗面壁乱流の数値解析結果は国際会議14th European Turbulence Conferenceに採択され,本研究成果の意義・重要性が認められた.なお本研究は国際情報交換として研究がおこなわれている. 有限差分法では高波数変動の精度を確保することが難しい.申請者は,支配方程式であるナヴィエ・ストークスの式の粘性項に着目し,粘性項のみの高次精度化によって高波数変動の精度向上を可能にした.粘性項のみの精度向上による計算量の増大はわずかである場合が多く,計算コストの点からも理に適っている.この成果は国際学術誌International Journal for Numerical Methods in Fluidsに採択され,本研究成果の意義・重要性が認められた. 以上に加え,粗面壁近傍の流れ場解析の精度向上が期待される曲線座標での解析を高精度に行うことが可能な数値解析コードの新規開発(国際会議4th International Conference on Jets, Wakes and Separated Flowsに投稿中)を行った.また,境界層外乱れ単独の数値解析を行った(8th International Symposium on Turbulence and Shear Flow Phenomenaに採択,日本機械学会論文集に投稿中).境界層外乱れの影響に関する数値解析を現在進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画の境界層外乱れの無い粗面壁乱流の数値解析の進展に加え,高波数変動の精度向上を可能にした数値解析手法の改良,曲線座標での解析を高精度に行うことが可能な数値解析コードの新規開発,さらには,境界層外乱れ単独の数値解析等を達成できたことから,当初計画以上に進展しているものと言える.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に得られた数値解析結果の考察をより進める予定である.そして,当初計画通り境界層外乱れの影響を受けた粗面壁乱流を解析する.流れ場については,単一スケール粗面および多重スケール粗面上に壁乱流を生成し,その境界層外に一様等方性乱流を設定する.また,比較対象として,境界層外乱れの影響を受けた滑面上の壁乱流と場合についても数値計算を行う.流れ場は十分発達しており,統計的に定常とする.また,温度場については,24年度と同様気相の熱伝達・熱輸送についても解析を行う.境界層外乱れのパラメータとして,過去の実験的研究を踏まえて乱れ強さと長さスケール比を設定する.乱れ強さについては,古くは乱れ強さの低い場合が主に解析されてきた(数%)が,近年は乱れの強い(10%以上)場合も解析されていることを踏まえ,乱れ強さをこれまでの実験的研究を十分にカバーするように広い範囲で設定する.また,長さスケール比については,長さスケールのパラメータの重要性が指摘されたのは乱れ強さよりも近年である.長さスケール比が1となる条件を境にして現象は変わるとされているので,これを跨ぐようにパラメータを設定する.さらに,前年度に行え得た曲線座標での高精度数値解析をより進展させる.また,境界層外乱れ単独の数値解析についても推進する考えである.両年度で得られた成果を国内外に発表していく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度末の研究状況を鑑み,翌年度に請求する研究費に次年度使用額を併せることでより性能の高い計算機を購入する計画である.
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