研究概要 |
粗面壁乱流の解析結果は,European Turbulence Conference 14において認められた.この成果を踏まえると,高レイノルズ数の場合の解析を行う必要性が指摘された.この指摘を踏まえて,モデル定数がグローバル定数となる最新のSGSモデルをもとに,ダイナミックLESコードを開発した. 粗面壁乱流の数値解析には従来,スタガード直交格子系にもとづいて解析が行われてきた.この手法の特長は,乱流のエネルギーの良好な保存特性を実現できる点にある.一方短所は粗面壁を構成する粗面要素の角の厳密な再現に不向きな点である.この短所はコロケート格子にもとづき曲線格子を用いることで解消されるが,この方法にはエネルギー保存特性に難がある欠点がある.そこで,曲線格子においても良好なエネルギー保存特性を実現する解析コードを開発し,その成果が4th International Conference on Jets, Wakes and Separated Flows (ICJWSF4)において認められた. 本研究は境界層外乱れの影響について注目しており,その影響を考える上で境界層外乱れ自身の性質を把握することは,影響把握に貢献するものといえる.そこで,古くから境界層乱れとして設定される格子乱流および近年その特異な性質が注目されている多重スケール格子乱流について解析を行った.中でも,従来重要と認識されつつもデータ所得の困難さから不足している観点である,大スケールの観点および静圧変動の観点に着目して,解析および考察を行った.これらの成果は,日本機械学会論文集,ICJWSF4および8th International Symposium on Turbulence and Shear Flow Phenomena, およびFluid Dynamics Researchにおいて認められた.
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