研究概要 |
主流マッハ数0.2, 0.4の二次元角柱周りの流れから発生する空力音を対象とし, 主流マッハ数が発生音における散乱音と直接音の寄与に及ぼす影響や, 遠方の音場に寄与する主要な音源を明らかにすることを目的として, Lighthillテンソルを音源とした分離計算を行った. その結果以下の知見を得た. (1)Lighthillテンソルの第2, 3項の影響はマッハ数によらず無視できる程小さいことを確認した. (2)Lighthillテンソルに基づく空力音の分離計算により, 音の伝播角度に関するドップラー効果を予測可能であることが確認された. (3)圧力変動の大きさが極大となる角度で比較した際, M = 0.2では, 直接音は散乱音に比べ18dB程度小さく, 全体音に及ぼす影響も無視できるほど小さい. 一方, M = 0.4においては, 1.5dB程度小さいのみであり, 直接音が全体音に及ぼす影響も無視できない. そのため, M = 0.4では直接音を考慮した音場の予測が必要である.(4)角柱中心から20.5D程度下流までの領域 (渦6つ程度に相当) 内に遠方音場に寄与する主要な音源が存在し, このことは, 渦が角柱から放出される際に成長・変形することが音波の発生に寄与していることを示唆している. そのため, 音場を予測する際は, この領域の音源を流体解析において精度良く捉える必要がある. また,上記の音源探査手法は,アスペクト比が15の二次元平板まわり(平板長さ基準のレイノルズ数は87000)の流れにおいても有効であることを確かめており, 後流が乱流となる流れにも有効であると考えられる. 上記の研究成果は機械学会論文集B編に掲載された.
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今後の研究の推進方策 |
キャビティ流れにおける音源の同定を行っていき, 高精度な音響計算手法を構築していく. また, 吸音材の効果を音響計算に取り入れることは, 音響計算の手法上, まだ課題があるため, 本音響計算手法を用いてまずはキャビティの深さを変化させた際の発生音への影響を調査することで, キャビティ音の受動的制御に取り組む予定である.
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