研究課題/領域番号 |
24760137
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
住 隆博 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30358668)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 混相流 / 微粒化 / 数値流体力学 |
研究概要 |
本研究は,直噴ディーゼル機関における未燃炭化水素低減を目的としたVCO(Valve Covered Orifice)ノズルについて,針弁の偏心による噴孔内部流動変化と噴孔出口下流の噴霧微粒化過程の相関に焦点を当てる.研究計画に示したとおり,技術的,時間的,計算資源的な配慮から,ノズル内部流動予測と噴孔出口下流の噴霧微粒化予測を切り分けて研究を進めた. まず,ノズル内部流動については,汎用熱流体解析ソフトウェアStar-CCM+を用いて解析を行った.対応する10倍拡大ノズル実験模型に対して,従来は計算資源の都合からノズル全流路のうち片噴孔を含む1/4にカットした部分モデルについて解析を行っていたが,新たに解析専用のパーソナルコンピュータを導入したことにより,フルスケールモデルでの解析が可能となった.これにより針弁偏心量と噴孔内速度場より算出した噴霧角の相関は,予測精度が向上したことで,より対応する可視化実験の結果に近いものとなった.この内容ついては,日本機械学会中四国支部講演会にて発表済みである.また,計算格子,境界条件および乱流モデル等の各種設定パラメータについて再検討を行い,予測精度のさらなる向上を図った. 次に,噴孔出口下流の噴霧微粒化特性の予測のために,高次精度混相流数値解析コードの開発を並行して行った.既存研究を広範に調査した結果,比較的高速の噴霧に対しては流体の圧縮性を考慮した解法が有望であると判断した.圧縮性混相流に対する数値研究例は数少ないが,過去に単相流について高次精度解法を構築した経験から,既存の高次精度圧縮性コードにVOF(Volume of Fluid)法(各相の体積分率を追跡)を組み込み混相流への拡張を行った.現在までに二次元の基本コードがほぼ完成(ただし,流体の粘性と表面張力は無視)しており,各種ベンチマークテストを通して基本性能を確認中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず,汎用熱流体解析ソフトウェアを用いたノズル内部流動の解析については,フルスケールモデル(ノズル流路全体)での計算が可能になったこと,さらに計算格子,境界条件および乱流モデル等の各種設定パラメータの再検討を行ったことで,従来よりも予測精度が向上し,ノズル噴孔内速度場より算出した噴霧角は,対応する可視化実験結果に近づいた. 次に,噴霧微粒化特性予測のための高次精度混相流数値解析コードの開発について,既存の高次精度圧縮性単相流コードをベースとして,VOF法の導入による混相流への拡張(ただし,流体の粘性と表面張力は無視)がほぼ完了し,二次元の各種ベンチマークテストが行える状況になった.さらに,数値解法上のトピックとして,圧縮性流体に対する高次精度離散化手法の一つであるWCS(Weighted Compact Scheme)法について,安定性向上の改良を独自に行うなど,いくつかの新たな知見を得た.
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今後の研究の推進方策 |
まず,汎用熱流体ソフトウェアを用いた噴孔内部流動の解析について,引き続き各種設定パラメータの検討を行い,より対応可視化実験結果を再現できるような計算条件を明らかにする.さらに広範な針弁の偏心量と偏心角について計算を行い,噴孔内部流動過程について詳細な検討を行う.また次年度の前半をめどに,これまでの内容について日本機械学会論文集への投稿(1件)を目指す. 次に,高次精度混相流数値解析コードについて,各種ベンチマークテストによる評価を完了し,その後に流体の粘性と表面張力を組み込んで,より現実に近い流れが解析できるように拡張を行う.当初のテスト問題(二次元)としては,噴孔より噴出した液相のジェットが気相内で飛散しながら微粒化する過程を想定する.また次年度の後半をめどに,先述の数値解法の新規提案として,Journal of Computational Physicsへの投稿(1件)を目指す.
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次年度の研究費の使用計画 |
高次精度混相流数値解析コードについて,初年度は一次元の小規模なモデルより開発を始めたため,当初予定していた高性能ワークステーションの購入を見送っていた.次年度以降は二次元以上のある程度規模の大きい問題に取り組む予定のため,以下の研究費使用を見込む. 高性能ワークステーション (HP Z820 Workstation) 1,500千円 Fortranコンパイラ (インテル Cluster Studio XE 2013) 210千円 日本機械学会論文投稿費用 130千円
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