研究課題/領域番号 |
24760144
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
滝沢 研二 早稲田大学, 高等研究所, 准教授 (60415809)
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キーワード | 移動境界問題 / 流体力学 |
研究概要 |
本年度は,当初の予定通り,流体領域のトポロジー変化に対応する計算手法を仕上げに重きをおいた.手法を確かめるために,二枚の羽がぶつかり合う時の周囲流体の流れの解析を行った.また,心臓周りの弁を模した構造を利用して,弁の開閉ともなう周囲流体の流れの解析を行った.これにより,閉じるという動作をモデル化する事に成功した.計算格子数を増やす事で,解が一定の状態に近づいていく事を示しモデルの収束性 (Verification) が高いという事を示す事ができた. また,前年度行った滑らかな動作の記述による解析に関して,新たに解析結果を逆に滑らかにする事でデータの効率的な記録手法を提案した.さらに,本手法を直接解析に使う事を提案した.本手法の利点は,解析結果から得られたどの瞬間をとってもある一定の滑らかさを持つ事を保証する事ができる.物体の運動は,加速度が不連続であるというのは,加わった力が無限大である事を意味する.これは,工学分野の物理ではあり得ない事である.本手法は例えば,加速度が連続である事を保証する事ができる. 昨年度は,一定温度の,非圧縮性流体を解析の対象としていたが,本年度より,温度変化のある非圧縮性流体や圧縮性流体に定式化を拡張した.例えば,トラックの高速走行時のタイヤの周囲温度を調べるといった事が出来る.エンジンから排出される熱が周囲流体によってどう伝わるか,また排気口から出てくる高温のガスがどのように振る舞うかということを,車体の振動を記述したパラメトリックス時空間モデル上で行うことが出来るようになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度予定していた,トポロジー変化を伴う流れの解析を終え,さらに昨年度の成果を包括する新しい計算手法を提案する事ができた.具体的な計算に関しても,非圧縮性流体の定式から,温度を含む定式化,圧縮性流体の定式化まで拡張する事ができたため.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は,2年間で構築した計算手法がどのように使え,どのように役に立つのかという事を中心に示していく予定である.様々な計算を行う事で,計算手法の欠点を発見する事も出来ると考えられるため,それらの改善も本年度行っていく.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は,主に解析を行う.解析に必要な計算機の整備とスーパーコンピュータ等の使用料が発生するため.また,成果発表を海外で行うため. 一部の計算機の整備を前期に行う.また,年間にわたりメッシュ生成のためRAを雇用し行う.計算規模によってはスーパーコンピュータを使用するためその使用料に使用する.
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