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2012 年度 実施状況報告書

プール沸騰限界熱流束を向上する微細溝加工を施した伝熱面の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24760156
研究種目

若手研究(B)

研究機関東北大学

研究代表者

宮田 一司  東北大学, 流体科学研究所, 助教 (00610172)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードプール沸騰 / 限界熱流束 / 液体窒素 / 伝熱促進 / 微細くぼみ
研究概要

超伝導体や電子デバイスの冷却に利用される核沸騰冷却の性能向上のために,限界熱流束を向上する微細構造を有する伝熱面の開発を行っている.第1年度目である平成24年度は,核沸騰熱伝達特性を精密に測定できる実験装置を製作し,また本研究で提案した微細三角形くぼみ付き伝熱面を作成してその核沸騰熱伝達特性を測定した.
製作した伝熱面の詳細を以下に示す.伝熱面は,無酸素銅製の円形(直径25 mm)で,その上に,微細な正三角形穴が周期的に配置された直径25 mmのSUS304製の薄板を置くことで,三角形くぼみを形成する.三角形くぼみの一辺の長さは2.5mm,三角形の角部の曲率半径は0.06 mm,くぼみを隔てる梁の幅は0.2 mm,くぼみの深さは0.1 mmである.また,比較のため,SUS板を置かない銅平滑面の核沸騰熱伝達率も測定した.試験流体には,大気圧下の液体窒素を用いた.
実験の結果,くぼみ付き伝熱面の限界熱流束は,平滑面に比べて,約20 % 向上することを確認した.限界熱流束向上のメカニズムを明らかにするために,くぼみ付き面で沸騰形態が膜沸騰に遷移した際の沸騰様相を観察したところ,蒸気膜に覆われているのはくぼみの内側の銅面上のみで,SUS部は液との接触を保っていることが確認された.すなわち,SUS部は,蒸気泡の発生には寄与しないものの,高熱流束下でも液との接触を保ち,銅面への液供給を促進して,限界熱流束の向上に寄与したと推察される.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の計画通り,試験装置の製作を完了し,研究実績の概要に示した通り,本研究で提案した伝熱面が高い限界熱流束を達成できることを実証した.また,次年度に予定していた,さらなる限界熱流束向上のために異なる材料やくぼみサイズの伝熱面を製作して検証することについても,すでに着手できている.

今後の研究の推進方策

本年度製作した伝熱面の限界熱流束向上のメカニズムについて,詳しく検討し,現象を再現する物理モデルを構築する.また,今回限界熱流束の向上を実証した伝熱面と同じ構造でくぼみサイズが異なる伝熱面を製作して検証し,物理モデルの精度向上に利用する.
また,24年度の実験で得られた結果をもとに,より高い限界熱流束を実現できる可能性をもつ新たな伝熱面を考案し,その製作および検証を行う.

次年度の研究費の使用計画

当初の予定よりも試験体の交換が容易な装置を製作でき,それに伴って,試験体の単価が当初の予定よりも下がった.そのため,24年度の支出は当初の予定を下回った.その差額は,24年度に得られた結果をもとに新たに考案する,より高い限界熱流束の達成が期待できる微細構造を有する伝熱面の製作に充てる.
25年度の請求分については,当初の予定通り,24年度に製作した伝熱面と同じ構造でくぼみサイズが異なる伝熱面の製作の他,成果発表旅費,研究協力者との打ち合わせの旅費等に充てる.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 微細三角形くぼみ付き伝熱面における液体窒素のプール沸騰熱伝達と限界熱流束2013

    • 著者名/発表者名
      宮田一司,大平勝秀,森英夫
    • 学会等名
      第50回日本伝熱シンポジウム
    • 発表場所
      宮城県仙台市
    • 年月日
      20130529-20130531

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公開日: 2014-07-24  

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