研究課題/領域番号 |
24760157
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山崎 由大 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60376514)
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キーワード | エンジン / バイオマス / デュアルフューエル / 制御 |
研究概要 |
本研究は,液体,気体とも成分が安定しないバイオマス由来の燃料を対象に,デュアルフューエルエンジンシステムの構築を行うことを目的とする。これに対し,本年度は自動運転制御系の構築に向けて,試験用エンジンの液体燃料噴射系の改造を行い,燃焼実験を行った。また,コンピューター上で制御系検討を可能とするように,これまでにも進めてきた組成変動の影響を考慮できるシミュレーションモデルの構築を引き続き行った。 具体的には,実験では,これまで既存のジャーク式燃料噴射ポンプによって液体燃料の噴射は行われていたが,噴射時期の制御ができなかった。バイオマスガスの組成が変動することに対して,着火に大きな影響を与える液体燃料の噴射時期制御は重要な制御項目となる。そこで,液体燃料の制御に,電子制御可能なコモンレール噴射系を導入した。この導入によって,噴射時期,噴射量,噴射圧力が任意に制御可能となった。吸気温度と液体燃料噴射時期の調整によって,予混合気の自己着火燃焼に基づく運転が実現できていると思われる領域が確認され,従来の火炎伝播と思われる運転領域よりも高効率な運転ができることも示された。また,シミュレーションモデルに関しては,これまでは着火時期の値に実験値を入力することで燃焼時の圧力履歴などを予測するものとなっていたが,化学反応速度論による着火時期予測モデルを導入した。また,燃焼速度のモデルには乱流の影響を考慮できるような項を追加した。上死点より手前に燃焼が始まる条件においては定性的に熱効率や圧力履歴を予測できるが,制御系設計に十分な精度とは言えず,今後更なる改良が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験装置の液体燃料の噴射系に関する改造は完了し,実験データはある程度取得できており,パラメーターの影響について,大枠は把握できたと考えられる。また,リアルタイムな燃焼把握の手法としては,燃焼解析用の圧力センサーを搭載していること,これまでに火花点火機関でのノウハウを有することから,まずはこれをフィードバック信号として用いることとした。ただし,実験装置の改造に時間を要したために,実験データを整理し,制御アルゴリズムを構築するまでは至っておらず,この点に関してやや遅れているという認識であるが,燃料噴射系の制御は,汎用のハードとソフトで独自に構築した制御系を用いて行っているため,制御アルゴリズムが構築できれば導入は比較的容易であり,この点での準備は整っている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの実験データをもとに制御アルゴリズムを構築する。なお,制御アルゴリズムの構築において,運転条件としてはH25の実験結果より,バイオマスガスの火炎伝播を利用する条件と自己着火燃焼を利用する条件に大別して検討する必要があると考えられる。ため,このような運転条件の境界をどこに設けるかの検討と,燃焼形態毎の制御アルゴリズムの検討が必要になる。制御アルゴリズムを検討,検証する上でシミュレーションは有効であるが,現在のモデルはまだ十分な再現精度を有しているとは言えないので,その改良も進めていく予定である。しかしながら,エンジン内の燃焼の複雑さからこの完成を待って,制御アルゴリズムを検討,検証するのは適当ではないので,机上検証はなしで,実機での実証試験を行うことも予定している。
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