研究課題/領域番号 |
24760160
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
志村 祐康 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (30581673)
|
キーワード | 乱流燃焼 / 予混合火炎 / 振動燃焼 / 能動制御 / レーザ計測 |
研究概要 |
本研究では振動燃焼を抑制するために,振動燃焼の起源である熱発生率の変動,すなわち火炎構造の時間的・空間的変動と燃焼器内の圧力変動の非線形な関係に着目して,乱流燃焼の能動制御に必要不可欠な制御用センサー,制御デバイス及び制御アルゴリズムを総合的に開発し,ガスタービンモデル旋回型乱流燃焼器において能動制御実験を行い,振動燃焼の予測法と乱流燃焼の能動制御法を確立することを目的としている. 平成25年度は,主に数値的研究によって燃焼器内の旋回乱流予混合火炎における燃焼器内圧力変動と乱流火炎構造の関係の明らかにすること及び能動制御システムを構築することに重点をおいて研究を行った.実用的な燃焼器では高圧力条件下で乱流火炎が形成されるため,乱流燃焼の能動制御法の確立には半導体レーザ吸収分光センサーの高圧力条件下での信号特性を明らかにするとともに,高圧乱流予混合火炎の火炎構造を明らかにする必要がある.乱流燃焼の能動制御法の高圧力条件への拡張には,数値的手法を有効に活用している.半導体レーザ吸収分光センサーシミュレーションの予測精度を高めるには詳細な火炎情報が必要不可欠であるため,直接数値計算によって大気圧及び高圧力条件下の旋回乱流予混合火炎のシミュレーションを進めた.大気圧条件下のDNS結果から局所火炎構造を明らかにするとともに,スペクトル解析及びDMD(dynamic mode decomposition)解析を適用することで燃焼器内圧力変動と熱発生率の動的特性のスワール数依存性を明らかにした.これらの旋回乱流予混合火炎の動的特性とセンサー信号との関係を半導体レーザ吸収分光センサーシミュレーションを用いて検討した.また,新たに設備備品としてDSP(digital signal processor)を導入し,能動制御システムを構築を進めた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は主に数値的研究によって旋回乱流火炎の火炎構造及び圧力変動と熱発生率の動的特性を明らかにするとともに半導体レーザ吸収分光法との関連性をなどを検討した.燃焼制御アルゴリズムの構築のために,実験的研究をより詳細に行う必要があるが,一方で能動制御システムの構築を進めており,全体計画としてはおおむね順調に進展している.
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究では,旋回型乱流燃焼器に形成されるメタン・空気乱流予混合火炎の制御下から非制御へと遷移する実験条件において半導体レーザ吸収分光センサー,圧力変動計測及び平面レーザ誘起蛍光法(PLIF)等の火炎構造の光学計測法を適用することにより,半導体レーザ吸収分光センサーの出力信号,圧力変動及び乱流火炎構造の関係を明らかにする.この実験的研究とこれまでの数値的研究で得られた結果を総合することにより,半導体レーザ吸収分光法による振動燃焼の予測法と能動制御アルゴリズムを確立する.大気圧条件下の旋回型乱流燃焼器に適用して能動制御実験を行い,乱流燃焼の能動制御法を確立する.さらに,高圧力条件下における乱流予混合火炎の直接数値計算結果に対して半導体レーザ吸収分光センサー適用シミュレーションを適用することで,構築した燃焼制御システムの適用範囲を高圧力条件へと拡張することを目指す.
|