平成26年度は主に、①比較測定法による微粒子の比熱容量測定、②MEMS式断熱型熱量計の製作と改良を実施した。①については、金、シリコン、二酸化ケイ素、モリブデン、アルミナ、窒化チタンの6種類の微粒子について、従来の示差走査熱量測定法により比熱容量値を求め、各物質のバルク形状の比熱容量値との比較を行った。②については、2種類の熱量計を作製し、測定の検討を行った。はじめに、厚さ0.525mmのシリコン基板に厚さ20μmの熱酸化膜をつけ、厚さ50nmのチタン薄膜を下地として厚さ100nmの白金膜によりヒーターと温度センサーを装備した10mm角の大きさの熱量計を作製した。線幅は20μmとし、中心から放射状に試料加熱用ヒーター、試料温度測定用白金センサー、熱補償用ヒーター、基板温度測定用白金センサーを作製し、基板上で断熱法による比熱容量測定を可能とする構造とした。試料のセット部分は、試料加熱用ヒーターと試料温度測定用白金センサーの上部とし、直径0.8mmとした。試料温度測定用白金センサーについては、0℃において抵抗値100Ωの「Pt100」規格に対応することを目指したが、白金膜にはチタン薄膜が接触しており、抵抗値100Ωを得ることは困難であった。しかしながら、熱量計としては、正常に動作することが確認できた。次に作製した改良型熱量計は、中心から放射状に形成する構造体の設計を変え、試料のセット部分を直径0.6mmとし、より微小な試料に対応可能なものとした。試料温度測定用白金センサーに関しては、精密に設計することにより、室温において「Pt100」規格に対応できることが確認できた。さらに、試料加熱用のヒーター線を2線式から4線式に変更することによりリード線による抵抗値の影響を除去することが可能となった。この改良型熱量計もまた、正常に動作することが確認された。
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