研究課題/領域番号 |
24760183
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中野 寛 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (70433068)
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キーワード | 自励振動 / びびり振動 / エンドミル加工 |
研究概要 |
本年度は,切削実験および時刻歴応答解析を行ない,被削材強制加振によるびびり振動抑制効果を確認した.被削材の剛性が加工面に平行な方向とそれと直交する方向で剛性に異方性がある実験装置を使用し,被削材を工具送り方向に平行な方向の固有振動数で加振することで,びびり振動の抑制効果を確認した.また,被削材加振時と非加振時の加工面形状を測定し,被削材加振時の加工面粗さが非加振時よりも改善されていることを確認した. 次に,切削実験結果を踏まえ,低剛性の被削材を2自由度集中質量系でモデル化し,切削中に被削材が受ける切削力に多重再生効果を考慮した.直接数値積分による時刻歴応答解析を行なって,工具送り方向に被削材を加振したときのびびり振動抑制効果を調べ,実験結果と同じ加振振動数,加振振幅でびびり振動抑制効果が得られることを確認した. 次に,数値計算を行ない,びびり振動抑制効果が高い最適な加振条件を検証した.加振振動数を変更してびびり振動抑制効果が得られる加振振動数条件を調べた結果,加振振動数と主軸回転数とエンドミルの切れ刃枚数の積で決まる切れ刃通過周波数成分の関係で抑制効果が大きく変化することを明らかにした.この結果を踏まえて,より高い加振振動数で被削材を加振した場合もびびり振動抑制効果が得られることを数値計算で確認した.また,加振振幅の大きさとびびり振動抑制効果についても調査し,加振振動数によって,びびり振動抑制効果が得られる加振振幅が異なること,加振振動数によって加振振幅を大きくしてもびびり振動抑制効果が得られない条件があることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究2年目は,①切削実験によるびびり振動モード測定②解析モデルの構築③数値計算結果と実験結果の両面からの抑制メカニズムの検証を当初計画に挙げ,ほぼ計画通りに進捗している.①については,低剛性治具を使用した被削材を強制加振した状態で切削加工し,加振の有無で被削材の振動加速度を比較した.実験の結果,加振時の被削材のびびり振動成分の振幅が大きく低減し,びびり振動抑制効果を確認した.②に関しては,切削中に被削材が受ける切削力に多重再生効果を考慮した2自由度集中質量系でモデル化した低剛性被削材のびびり振動解析モデルを構築し,時刻歴応答解析を行ない,びびり振動抑制効果を確認し,切削実験結果とよく一致する結果が得られた.③に関しては,数値計算を行ない,びびり振動抑制効果が得られる最適な加振振動数や加振振幅の条件を導出した.得られた計算結果を踏まえて,次年度に切削実験を行なって検証する.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,昨年度の数値解析で得られたびびり振動抑制効果の高い加振条件で実験を行ない,予測した抑制メカニズムを検証する.また,主軸回転数や軸方向切込み深さなどの切削条件を変えたときのびびり振動抑制効果および,びびり振動抑制効果が高い最適な加振振動数や加振振幅条件への影響を調べる.また,被削材強制加振によるびびり振動抑制メカニズムに関する理論的考察を行なう. 本研究課題の最終年度となるため,得られた成果を整理し,Dynamics and Design Conference 2014講演会にて研究成果発表し,本年中に論文にまとめる予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度予算で購入を予定していた加振力測定用の圧電型ロードセルの購入を見送ったため,平成26年度予算に繰り越しを行なう. 平成26年度に,より大きな加振力を実現するため被削材加振器を動電型加振器から積層型ピエゾ圧電素子で構成する加振装置に変更する予定である.その際,当初予定していた加振力測定用の圧電型ロードセルの購入を行なう予定である.
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