研究実績の概要 |
これまでの実験結果を踏まえて,積層型圧電素子を使用した加振装置を製作し,また,より低剛性の被削材を再現するために被削材の支持剛性を低くし,被削材強制加振によるびびり振動抑制効果を調査した.実験の結果,より低いびびり振動数の場合も被削材強制加振によってびびり振動抑制効果が得られることを確認した.一方,積層型圧電素子を使用した加振装置では,動電加振器を使用した場合に比べ,加振方向の剛性増加に伴い,十分な加振変位が得られなかったことなどから,びびり振動抑制効果を実験により確認することはできなかった.改良した実験装置のモーダルパラメータを用いた時刻歴解析を行ない,びびり振動抑制効果を得るための加振振幅条件を導出した結果,びびり振動振幅,加振変位,工具送り量の関係がびびり振動抑制に大きく関与していることを明らかにし,切れ刃が切削中に被削材から離脱を繰り返す条件で加工するとき,びびり振動抑制効果が得られることを確認した.より大きな加振変位を出力できるように加振装置を改良することで,積層型圧電素子を使用した加振装置においてもびびり振動抑制効果が得られると考えられる. 研究期間全体を通じて実施した研究の成果は以下のとおりである. (1)びびり振動発生限界線図が極大値となる主軸回転数より,極小値となる主軸回転数においてびびり振動抑制効果が大きい,(2)工具送り量を小さくするとびびり振動抑制効果が大きくなる,(3)加振振動数と切れ刃通過周波数成分の関係で抑制効果が大きく変化する,(4)びびり振動抑制効果が得られる加振振幅が異なり,加振振幅を大きくしてもびびり振動抑制効果が得られない加振振動数が存在する.
|